季節は春に確実に進んでいて、コートを脱ぐ人も日に日に増えていると思います。
かってコートといえばハンフリー・ボガードが演じた、フィリップ・マーローが着ていたトレンチコートの着こなしが世界的に一世を風靡した時代がありました。
いまでも衣服が個人のキャラクターを説明する道具として使用されています。
いまでは当たり前のように登場するカーチェイスも「ブリット」という映画がムスタングを使って撮ったのが始まり。この映画ではクルマもそうですが、コートも大きく貢献しています。
スティーブ・マックィーンが演じる刑事は終始コートを纏っていた気がしますが、クライマックスでは夜の空港で、犯人を追いかける時に、ずっと着ていたコートを脱ぎ捨てます。
「覚悟」を表現したんだと思います。この瞬間のためにずっと着ていたんだと思います。
この刑事は警察という組織にいながら、権力に反発するために、組織人として危うい状況にたちますが、それでも自身の正義を貫こうとします。コートを脱ぎ捨てる瞬間、彼は自分をむき出しにする一方で、人生を捨てる覚悟をしたことを表現したと思います。
最後は空港ロビーで犯人を射殺しますが、その時は着ていたジャケットを脱いで人目に触れないように覆います。
このように衣服は、もうひとつの主人公を演じたのです。
外見だけでなく内面を変える役割を担っているのが衣服です。
同じことは、一般人にも言えると思います。その意味では流行りという基準で選ぶのではなく、自分の人となりを表現する道具として選ぶのが人生の楽しみ方のひとつだと思うのです。
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