阿頼耶識(アラヤシキ)という言葉をご存知でしょうか?
阿頼耶識システムとは、「機動戦士ガンダム鉄血のオルフェンズ」に登場するインターフェースシステムです。
阿頼耶識の本来は仏教用語です。
「西遊記」でおなじみの三蔵法師がインドから持ち帰った「唯識思想」にある言葉で、深層心(潜在意識)にある根本心のことです。識とは「蔵(倉庫)」のことで、過去からの一切を蓄えるところの意味です。人間がなにかを行ったり、話したり、考えたりすると、その影響は阿頼耶識内に種子(しゅうじ)として記録され、阿頼耶識内部に蓄えられるといいます。
阿頼耶識のルーツ
唯識思想の開祖は弥勒。インド初期大乗仏教の学派、 ヨーガの実修を重要視する瑜伽行唯識派(ゆがぎょうゆいしきがくは)が打ちたてた唯(ただ)、八種類の識によって成り立っているという教理。無著(むじゃく)・世親(せしん)の兄弟僧侶によって体系化され、世親の著書『唯識三十頌(ゆいしきさんじゅうじゅ)』に要約。17年の歳月をかけて三蔵法師(玄奘)によって膨大な経典が中国にもたらされ、その後入滅するまでの20年に及ぶサンスクリット原本の翻訳事業の業績を弟子の慈恩大使、基が継承、唯識思想に基づき法相宗を確立しました。日本には奈良・興福寺を中心に広まりました。
ヨーガとは、すべての「もの」をこころに還元して、その本質を観察して、思考する実践をいいます。禅、座禅の禅の音写である禅那を縮めたものです。
阿頼耶識縁起とは
唯識によれば、人間には表層心(顕在意識)に六識があり、深層心(潜在意識)に末那識(自我執着心)と阿頼耶識(根本心)の合計「八識」があるとされています。この八識が実在するもので、その他は実在していないという教えです。
表層心と深層心は、原因と結果の関係にあります。
憎悪が表層心に生起すれば、それが原因となって深層心にある阿頼耶識に種子を植えつけます。
やがて阿頼耶識に蓄えられていた種子が原因となって、憎悪が表層心に反映されます。
この縁と生起の関係を「阿頼耶識縁起」といいます。
縁起とは、「縁(きっかけ)があって生起する」という意味(システム)です。
つまり母の胎内でいのちが誕生して以来、阿頼耶識縁起を繰り返し、成長、生きているということです。生命体としてのいのちは60億の細胞の集合体ですが、こころはどこにあるのかわかりません。
人は「一人一宇宙」といいますが、宇宙と同じく涯がどこなのかわかりません。仮に八識を所有した身体を地球だと考えたら、八識によって宇宙のすべては「自分のこころ」が創り出しているのです。
末那識も阿頼耶識を対象にする
瞑想は固定概念に捉われず、自分に気づくための観察と実験を繰り返す行為です。観察は疑問を生み実験を繰り返します。
阿頼耶識は胎内にいる時から働いています。
もし母親が胎児のことを考えない行動を繰りかえすと阿頼耶識に不安や怒りが蓄えられます。
やがて地上に出た子どもは阿頼耶識と表層心の通信を繰り返します。
表層心で怒りや憎しみなど三毒つまり貪・瞋・癡(とん・じん・ち)と言われている感情が生じると阿頼耶識に蓄えられている同じ感情を探して、それを表層心に返します。
繰り返しで強化されます。さらに自我執着心である末那識も阿頼耶識を対象に働きます。
阿頼耶識・認知のメカニズム
人が行う、一つ残らずすべての選択(=思考)が、阿頼耶識に影響を与えます。阿頼耶識内に記憶された情報は表層心にある六識と深層心の末那識に呼び出され、協働して心作用します。この働きを理解できていれば心作用をより良いものにコントロールすることも可能になります。
思考が散漫になっていると可能性はどんどん小さくなります。
集中が足りないと思考は乱反射して方向が定まりません。
自分の欲しいものがはっきりわかっていないからです。
望みがかなえられないのは、阿頼耶識が働いてくれないからではなく、阿頼耶識が方向を見つけられないのです。
それは私たちの問題です。一度にたくさんのことを「望んで」いるのが問題なのです。
少ないほど深くなるという約束を度外視しているからです。
人間は平均して、一日に6万の物事を考えます。
このうち、98パーセントは前日のくり返しだといいます。
つまり、6万個の思考のうち、新しい思考は1200個程度で、それ以外はすべて前日とまったく同じ思考だというのです。
脳は、自動思考、マインドトーク(マインドワンダリング)という雑念に乗っ取られた状態で、無限大の可能性にチャレンジすることなど不可能に近いことを表しています。
動物園で暮らすライオンのようです。
機械に支配され仮想空間に過ごす人類を描いた映画「マトリックス」と同じ状況です。
支配されているとは、空中を縦横無尽に飛び回っているテレビの電波のように、他人の思考もまた否応なしにあなたのところへ押し寄せてくきます。
大量のCMによる洗脳アプローチが最たる事例です。
あなたは無意識のうちに、文化、宗教などに影響されている。
たとえ意識的に取り入れているつもりがなくても、影響は避けられません。
無限大になりきる
人には、無限大の可能性があるのに気づいていない。
信じられないかもしれませんが、阿頼耶識によってもたらされる思考は強力です。
望みのものを手に入れる力はまだ弱いかもしれないが、力そのものはとても大きい。
疑いは一つも持たずに、すべての思考を使って、自分はできると信じることです。
身の回り品から医療・宇宙開発に及ぶあらゆる事象でニュートンの運動3法則がアプローチするように、すべての作用には、同じ力の反作用があります。
「祈り」を送り出すときも、まったく同じものが返ってきます。
祝福を送れば、自分も祝福される。
「怖い」という気持ちを送り出せば、自分を怖がらせるものを受け取ることになります。
嘘をつけば、自分も嘘をつかれる。誰かを批判すれば、自分も批判される。愛を送れば、自分も大きな愛を受け取ることになります。
自分が望んでいるものを知る
自分が本当に祈っているものはいったい何か。
大事なのは、生(ナマ)の感情、生の欲求、何を祈っているのかに気づくことです。
自己否定しながら、自己肯定は得られないのです。
それを知りたかったら、自分のまわりを見てみよう。
あなたの人生に実在するものが、あなたが現実に祈ったものです。
そこにあなたの生(ナマ)のこころが現れています。
人生200年時代、自由で豊かなライフシフトを実践するには幾つかの要素が、縁起となって現れることが重要になります。
まとめ
唯識では、八識が世界を生み出しいると説いています。
唯識思想では、感覚、思い、言葉は深層心から表層に現れると解いています。
阿頼耶識に良いも悪いもありません。
ネガティブな感覚、思い、言葉を表層から発信すれば阿頼耶識に蓄えられます。
表層心にある六識との協働でネガティブな記憶が強くなってしまいます。薫習効果です。
唯識思想では「正聞薫習」といい、正しい教えを毎日薫習することで、成長できると説きます。
自由で豊かなライフシフトを実践するには、明るく楽しく愉快な日々を心がけたいですね。