海坊主は海に住む妖怪の代表。多くは夜間、突然海上に現れ穏やかだった海面が突然盛り上がり暴風の荒波を巻き起こし、船をひっくり返して沈めてしまうそうです。数百メートルある身長の妖怪。海で出会ったら最後です。
和歌山市加太にはこんな話が残っている。漁師が友ヶ島付近で漁をしていた時のこと、急に天候が変わったので、帰り仕度をしていると、突然、舟に次々と小石が投げ込まれる。振り向けば、人の何十倍もある大きな海坊主が現れて、「杓くれ杓くれ」という。
杓とは舟に入った水をくみ出す柄杓のこと。これを渡すと海坊主は舟に水を入れ沈めてしまうので、漁師は杓の底を抜いて渡したといいます。
海坊主には海入道・海法師・海小僧・海難法師・海座頭などの別名があります。坊主であるせいか仏教の寺の役職名になっているのは、人間が名付けたことを意味しているようです。
海坊主の正体としては、くじらなど海の生物の他、入道雲や大波など自然現象などが挙げられています。
さて、海坊主伝説が伝承されている和歌山市加太の名産は水了軒が作ってJR紀勢本線の駅弁として販売している小鯛雀寿し。和歌山水了軒といえば、明治31年創業の老舗で、和歌山で駅弁といえば水了軒というほど有名です。
なぜ鯛なのに雀とは不思議。そのわけは尻尾のある姿が雀に似ていることからです。伝統の味付けをした寿司飯にのる新鮮な小鯛(チャリコ)。加太町で揚がった小鯛は上品な桜色で香りがよく、身も甘くて美味しいです。
自分は和歌山県田辺市に毎月数回行ってましたので、駅弁を買うことも多かったのですが、田辺駅の売店で求める「めはり寿司」か、車中で買う「柿の葉寿司」、ところが発車ギリギリで売店で買えず、乗ればすでに「柿の葉寿司」は完売で、仕方なしに6個1000円強の「小鯛雀寿し」を求めることが多かったように記憶します。仕方なしにというのは、三種の中では一番高かったからです。(笑)一度も醤油を使ったことはありません。もともとついていないので使いようがありませんが、その分さらに上品な味わいでした。
加太に現れる海坊主も雀が大好きだったかも知れません。
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