見えぬけれどもあるんだよ 。見えぬものでもあるんだよ。
こんにちは、いきいきゴエスのNaoman-Minoruです。
覚えていますか?少年と主人公ネオの会話。
まだ見ていない方も、今回は一挙「マトリックスレザレクションズ」へご案内します!
少年:そうじゃなくて、真実を見ようとしなきゃ。
ネオ:真実?
少年:スプーンはないんだ。
少年:曲がるのはスプーンじゃなく、自分自身だよ。
「選択を現実にするのは自分なんだよ」と言われているようですね。
脳を鷲掴みにするセリフ!黒い衣装にサングラス、かっこいいカンフー!斬新で華麗なガン・アクション、迫力のカーアクションにコンピュータ画面。わかればめちゃくちゃ面白いストーリー!
何度観ても飽きない、何度見ても脳がエクスタシーによじれる映画です。
1999年に1作目が公開されてから20年以上が経過、いよいよ続編『マトリックス レザレクションズ』が公開される『マトリックスシリーズ』はいまも色褪せることなく、謎がいっぱい。人生の真実に触れる奥深いストーリーが心を揺さぶります。
しかし、『マトリックス・レザレクションズ』公開が迫るのに、なにがなんだかワケわからん!という人も多数いるのも本当のようです。意味わからんという人のためにここは外せないという重要ポイントと大筋だけでもわかるよう解説させていただきます。
マトリックスシリーズあらすじ一挙公開の前に
観た人の人生を変えると言われる映画『マトリックス』は、仮想現実を描いたサイバーアクションとしてSF映画の金字塔とされていますが、本質は心と世界の関わりをテーマにした哲学的な作品です。
映画『マトリックス』の核は、「君の信じる心が現実を作り出す」というメッセージです。
裏返すと普遍的な存在しないことになります。フランスの哲学者デカルトの「我思う、故に我在り」です。
マトリックスに囚われた人々が経験する現実は実は幻想だった点が他人話に思えない。映画を観て人生が変わったという人たちに共通した点だと思います。が、それ以上に『マトリックス』に挑む主人公ネオが、さまざまなトレーニングを積んでも、なお、これまでの人生が心の反映にすぎなかったことから覚醒するのに時間がかかることに、頭でわかっても、実践できないことの難しさに共感されたのではないでしょうか?それが映画『マトリックス』を何度観ても面白いことに繋がっていると思います。
人間の真の超能力とは、天性の才能や超人技ではなく、内なる気付きと思い込みの突破にあると思います。それは何度か登場するセリフ「心を解き放て」に集約されています。しかしどうすれば解き放てるのでしょう?簡単ではありません。
心を解き放つメッセージの裏に、さらに「信じる/信じられない・・・」という、もうひとつ大きなテーマが潜んでいます。あなたは自分を信じられますか?人生を変えたと言われる理由がモーリアスはじめ何度も使われる“believe”に宿っています。
「マトリックス」とは?
マトリックスはこの世の真実を描いていると私に言われている作品で、一番の見所は思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)にあります。私は毎朝、シンクロニシティを引き寄せて自分の過ちを取り返すために神社に参拝しています。過去は未来から修正できると信じています。未来を望むものにすれば過去は必要な失敗に書き換わるからです。
マトリックス(matrix)とは「子宮」を意味するラテン語が語源で、転じて「何かを生み出すもの」を意味する言葉です。映画『マトリックス』では「仮想世界」のことです。
マトリックス(matrix)という言葉は、ウィリアム・ギブスンという小説家が自身のSF小説「ニューロマンサー」で使ったのが始まりと言われています。
コンピューター・ネットワーク上のサイバースペース(電脳空間)に築かれた「仮想現実空間」、人類の全コンピューター・システムから引き出されたデータの「視覚的再現」、「共感覚幻想」のことを「マトリックス」と呼んでいます。(出展:マトリックス – Wikipedia)
また、行列式のことを指したりもします。イメージしやすいものだと、エクセルの行と列のこともマトリックスです。コンピュータプログラムの基礎となる要素でもあります。
それらを踏まえてSFの世界では「プログラム上で生み出された仮想世界」のことをマトリックスと呼びます。映画『マトリックス』的に表現すると、目覚める前のマトリックスとは物理的な刑務所ではなく、心の刑務所と言った方が一番適切な気がします。その意味であなたも私も、その一員です。!!
ネタばれマトリックス あらすじ
映画『マトリックス』はどんな物語?選択と信じる物語です。
映画『マトリックス』には、「奴隷になった人類が、ふたたび自由を手に入れる」物語です。その物語を通じて、自分を信じる孤独を超えて、内なる気付きと思い込みの突破が描かれています。
あらすじ①トリニティーの会話
映画『マトリックス』はエナメルスーツに身を包んだセクシーなトリニティーの登場からはじまります。トリニティーの通信の会話です。
トリニティー:よしてよ。
サイファー:殺すハメになる。
トリニティー:モーフィアスは本物だと
サイファー:信じるのか?
トリニティー:関係ないわ。
「関係ないわ」に内なる気付きと思い込みの突破に通じる『自分が信じたことを選択して行動する』ことの尊さと難しさが含まれています。
エージェント・スミスと警官隊が踏み込んできます。
逃げるトリニティー、危機一髪、電話ボックスの電話線を通ってマトリックスから現実世界に逃げ込みます。
あらすじ②unplug(プラグを抜け)
プログラマーとしてソフトウェア会社に勤務するトーマス・アンダーソンは、天才ハッカー、ネオという裏の顔を持っていますが、この世界は何かおかしい、攻め立てられて頭がヘンになりそうだと違和感(「気づき」の序章)を持っています。
ある日、トーマスが眠っているとコンピュータの画面に「ネオ、目覚めよ。マトリックスは見ている。白ウサギを追え」という文字がタイプされます。”白ウサギを追え”は”不思議の国のアリス”で有名な言葉ですね。
これはマトリックスで寝ている人々にとって、現実世界で生きろという伝説のハッカー、モーフィアスからのメッセージです。と同時に黒ずくめのエージェントがマトリックスに気づきはじめたネオを抹殺しようと迫ってきていることへの警告なのです。
すぐそのあと、ネオの元に、ネオにハッキングを依頼していた地下活動グループがやって来ます。ネオは報酬を受け取ると、彼らに問いかけます。
グループのボス、チョイは「たまにはプラグを抜いた方がいいぜ」と答えます。
この会話は、これから始まるぶっ飛んだ物語を暗示しています。
ネオの質問は毎日の暮らしに違和感があることを示唆していて、チョイの答えは『マトリックス』からの脱出を示唆しています。
このときチョイの答えの中で英語で”unplug(プラグを抜け)“という単語が使われますが、人間はみんなコンピューターのプラグに繋がれて、カプセルの中で眠っていることにひっかけています。”unplug”は人間の脳(意識)に繋がれたコンピューター・プログラム『マトリックス』からの脱出を意味しています。
グループから明日のドラッグパーティーに誘われますが、仕事があると一旦は拒否します。しかし女性の腕に白ウサギのタトゥーを発見。パーティーに行くと約束をします。
クラブに行くと、ネオの元にトリニティーが現れます。
ネオ:奴ら?
トリニティー:真剣に聞いて。すべて分かっている。眠れないわけも。夜な夜なコンピュータで何をしてるかも。彼を探しているのね。私も昔、彼を探していたの。
彼は言ったは、”君が探していたのは俺でなくて答えだ。”
トリニティー:答えを探してここに来たのね。ある疑問の。
トリニティー:私と同じ この疑問をね。
ネオ:”マトリックス”とは?
トリニティー:その答えはどこかで、あなたを探している。
そして見つけるわ。望めばね。
と、同時に、すでにネオはエージェント・スミスに追われる存在になっていたのです。
翌日、会社で携帯電話の入った小包を受け取るネオ。鳴る携帯電話に出たネオは、モーフィアスから高層ビルの窓の外に逃げるように指示されますが、高層ビルにネオは足がすくみネオはエージェント・スミスに逮捕される。
『モーフィアス逮捕に協力しろ」と強要されるがネオは拒否します。
しかし支配の魔の手はネオの体内にまで迫っていたのです。
・・・夢から目が覚めると電話があり、モーフィアスでした。
ネオ:イエス
モーフィアスは会う場所を指定します。そこに行くとトリニティーが迎えに現れます。
トリニティーは、特殊な装置を使って、ネオのヘソから虫のような機械を取り出す。ネオは取り調べが現実に自分の身に起こったことだったと知る。
そしてモーフィアスが待つ部屋にネオを連れて行きます。
あらすじ③仮想世界の真実
ネオ:光栄です。
モーフィアス:光栄なのは私の方だ。どうぞ。座って。
妙な世界に入り込んだ。不思議な国のアリスの気分だろう。
目を見ればわかる。見たものを受け入れる気分だ。目覚めたいからだ。
本当の目覚めも近い。
ネオ:いいや。
モーフィアス:なぜだ?
ネオ:人生は自分で決めるものだ。
モーフィアス:なにが言いたいか、よく分かる。
ここに来た理由はよく分かる。
言葉にできなくても直感で分かる。ずっと感じてきた。
攻め立てられて頭がヘンになりそうだ。その思いが君をここへ。
ネオ:マトリックス
モーフィアス:それがなにか知りたいかね。
モーフィアスはネオに話します。
今も、この部屋にある。
窓から外を見る時や、テレビをつける時にもある。
仕事に行ったり、教会に行ったり、
税金を払ったりする時にも、君はマトリックスを感じる。
君の目を真実からそらし盲目にするために作られた世界なのだ。
真実とはなんだ?と問いを投げかけるネオに、モーフィアスは返します。
他の者がそうであるように、君もまた囚われの身に産まれ、
君が嗅いだり、味わったり、触れたりすることのできない刑務所の中に産 み落とされた。”心”を支配する刑務所だ。
自分の目で見て、掴むしかないのだ。
言葉を超えた感覚で掴むのです。考える時に言葉で考えます。リアルな感覚から遠のいて雑念のもとになります。リアルな感覚とは「自分の足はここにある」「頭はここにある」というものです。リアルな感覚を繰り返し体感することで、身体に留める習慣が身についていきます。モーフィアスは現実と仮想との違いをネオに強く身につけてほしかったと推察できます。
あらすじ④選択
青い薬はこれまで通り仮想世界で暮らせる薬、赤い薬は真実に目覚め、その先は不確実で恐ろしい世界を知ることになります。
現実世界で目を覚ますことを決意したトーマスは赤い薬を選択します。
ネオとしてコンピュータの支配から脱する人類の存亡を賭けた戦いに気持ちは傾きます。
あらすじ⑤仮想世界(マトリックス)で培養される人々
そしてモーフィアスの案内で、マトリックスの世界でコンピュータに接続され培養されている自分を知ることになります。
マトリックスの世界では、現実だと思っていたことが、電気信号にすぎずコンピュータが人間を支配するために夢をみさせていたにすぎないのです。 「水槽の脳」を参照
目覚めると、「ようこそ、現実の世界へ」・・・モーフィアスが言います。
そこは機械軍と戦うモーフィアスのホバークラフト”ネブカデネザル”でした。
モーフィアスにマトリックスの正体(プログラム)を見せられます。
ネオはプログラムの中にいる自分を体験します。
・・・モーフィアスによって、マトリックスの本質が語られます。
マトリックスが『洞窟の比喩』と同じ状況にあることを聞かされたネオは怖ろしさに恐怖し錯乱します。
モーフィアスは救世主の話をネオに語ります。
休憩:実は私たちは仮想世界で生きている?
さて、ここで一休みです。
仮想世界で生きるか?現実世界で生きるか?
ハーバード大学の調査では1日の47%が、過去と未来を考えているという報告がされています。
つまり一日の半分が「いまここ」から離れて仮想空間に身をおいて暮らしています。
同調性を重んじて、抑圧傾向が高い日本人の場合、もっと高い数字が出るでしょう。
地球規模で、ネオが夢見るように仮想世界を見ながらプラグに繋がれていたように、自ら雑念のプラグを挿しているのです。ストレスフルな一日を過ごすことでエネルギーを放出し、ドーバミンの神経回路が刺激されっ放しのご褒美を得ています。仮想世界からの脱出方法としてマインドフルネスが先進的企業「GAFA」などから提唱されています。
あらすじ⑥ダウンロード
ネオはマトリックスの中で培養される自分に驚きます。マトリックスの中で脳に電気信号で夢を見ている状態で生かされています。微妙な違和感として感じるネオは、日に日に何かヘンだと感じるようになり、モーフィアスと出会うことになります。
ネオのメンターとなったモーフィアスとは、ギリシャ神話に登場する夢の神モルペウスの意味です。モルペウスは夢や空想に人間のイメージを送り、夢を形作ったり、夢に宿るものたちに形を与えます。
マトリックスで格闘技や知識をダウンロードして、心身両面でどんどん進化します。
コンピュータは人間を支配するために、人々に社会はこういうものだと概念を均一化して制限をかけていますが、制限を突破すると不可能が可能に更新されていくのです。
ジャンプの仕方について教えようとする。通常の人間では到底飛び越せないビルの間も、マトリックスでは飛べるのだ。ジャンプをする前の、モーフィアスからネオへの助言は「すべてを解き放なて」
但し、管理する側にとっては。目障りな存在になるので、仮想世界の安定を司る「エージェント・スミス」にマークされ抹消される対象になります。
エージェント・スミスが出てきたところで仮想世界で管理されている人間と支配しているロボットの戦いのプロセスを時系列でご説明します。
あらすじ⑦「人間対人工知能の戦い」のプロセス
モーフィアスは、ネオに、マトリックスがなぜ、誕生したのか、全プロセスを説明します。
ここではモーフィアスと同じくプロセスを一気にネタバレ開封でご説明します。
人工知能は大きく分類して、特化型人工知能と汎用型人工知能があります。現在、実用可能な人工知能は、特化型人工知能です。特化型人工知能とは専門的な役割を持ったロボットです。限定された領域の課題に特化して自動的に学習、処理を行う人工知能を指します。具体的には、画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術を持つ人工知能です。現在ビジネス領域で広く活用されているAIは特化型人工知能にで、すでに人間の能力を超えています。映画『マトリックス』に登場する人工知能は「自我」を持ち全員役割を持っています。この設定が実に魅力的ですね。役割のないのは『レボリューションズ』に登場するサティーのような子どもだけです。つまり特化型としてもまだ未成熟なAiですが、『レボリューションズ』のラストシーンにご注目ください。汎用型人工知能は2021年現在まだ実用化されていません。人間は、想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できます。人間のような問題処理能力をもつAIが汎用人工知能です。汎用人工知能は、プログラムされた特定の機能以上の状況に対しても、自ら学習を行い、能力を応用することによって問題を処理できるとされています。実用化に高い期待が寄せられているものの、未だ実現はしていません。映画『マトリックス』に登場する人工知能ロボットは、専門分野に於いて想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できる人間のようなAIということができます。
- 人間はコンピュータの依存度を高めながら便利さを享受して暮らしています。
- その結果、地球上でロボット(人工知能)が著しく発展します。
- ロボット(人工知能)が自我を持つようになります。
- 自我を持ったロボットと人間との間で皮肉にも戦争が勃発。
- 戦争が続きロボット(人工知能)が世界の大半を占領。
- 劣勢に陥った人間は太陽光エネルギーの遮断を考え、反撃に核爆弾を使用。
- 核爆弾の黒煙で空が覆い隠され世界は暗黒になります。
- ロボットは太陽光エネルギーで稼働していたので深刻な燃料不足に陥る。
- 燃料調達に困ったロボットは人間の電気信号を自らのエネルギーにする技術を開発。
ここまでの話はアニマトリックス(ANIMATRIX) THE SECOND RENAISSANCE PART1 及びPART2 (脚本:ラリー&アンディー・ウォシャウスキー)に詳しく紹介されています。
- (9.から続く)人間はエネルギー量が少なく、すぐに寿命が尽きてしまう問題が発生。人間の生体エネルギーから膨大な熱量を生み出せる事を知ったロボットは核融合と結合人間の死体を液化、生きた人間に栄養として注入、ロボットに培養されるようになる
11.人間を培養し、人間の脳にプラグを繋ぎ仮想現実プログラムを体験させて「生きている」と錯覚させ仮想世界を支配する。
- 安定的にエネルギーの生産に成功する。
- 生まれた頃からプラグを挿されている人間は、仮想現実を現実だと認識してマトリックスの世界で一生を過ごすようになる。
- 仮想世界に気づいた人間が反乱を起こす
- 2つ世界で戦いが同時進行する
・仮想世界では、エージェント・スミスVS人間の戦い
・現実世界では、機械軍VS人間の戦い
あらすじ⑧救世主
モーフィアスは、長い間、この世界の『救世主』となるThe Oneを探し続けてきましたが、ネオに出会って、彼こそ、自分が探し続けてきたThe Oneだと確信したのです。
モーフィアスは、レジスタンスの預言者「オラクル(神託)」から、「お前はThe Oneを見つけ出す。そして人間と機械軍の戦いにも終止符が打たれるだろう」というお告げを受けていたのです。モーフィアスはひたすら信じることでレジスタンスを統率し、自分自身を支え続けていたのです。しかし、面白いことに、傍から見れば狂信者です。
人は、どのような信念、主張をしても、他者に肯定されないと、「自分は狂っていないか?」と不安になるものです。そのために横並びの意見に同意したくなります。つまり信念に生きることは常に「自分は狂っていないか?」との戦いなのです。
「感情を捨てろ」とクールな表情を崩さないモーフィアスですが、本当の顔は、何の根拠もない「お告げ」を信じている熱くクレイジーな男。シリーズ第三作の『マトリックス・レボルーション』でも、リンクの妻ジーに『モーフィアスはクレイジー』と揶揄されます。
リンクの妻。『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。ドーザー、タンクとは兄妹関係。ドーザーがネブカドネザルで死んだため、夫を心配、他の船に移るように呼びかけるがなかなか応じてもらえない。
『REVOLUTIONS』ではチャラと組みロケット砲の装弾手としてセンチネルズに立ち向かう。またゲートを開こうとするキッドをビーム銃で援護する。
あらすじ⑨汝、自身を知れ〜”Temet Nosce”
マトリックスの本質を知ったモーフィアスのホバークラフト”ネブカデネザル”乗組員たちは、ネオを救世主と信じます。しかしまだ確証はありません。
モーフィアスはネオを連れて預言者オラクルに会いに行きます。
そこで冒頭の画像の少年に出会います。
冒頭に揚げた少年との会話のあとです。オラクルと出会います。
少年との会話と合わせてオラクルとの会話はもっとも重要なシーンと言われています。
預言者「オラクル」は特殊能力を持ったAIの子どもたちを集め、子どもたちと一緒にアパートで暮らしています。実は彼女も人間ではなくマトリックスのシステムの一部です。彼女は「選択」を司る冷静・忠実な直感探知プログラムで、人間の持つ直感や曖昧さを追求するために作られ、人間の感情を調べる内に、人間に近い存在です。
オラクルの部屋の壁に「汝、自身を知れ(Temet Nosce)」という文字が掲げられています。
これには深い意味があります。
ネオは真実だと思っていた世界が実は心の反映に過ぎなかったことを理解することに時間が必要でした。この限定された世界に最初向き合うことは怖れ以外の何物でもありませんでした。
モーフィアスに「救世主(The One)」だと説得されてもネオは自身の本性に気づいていません(自分の真の能力)を信じることができません。
モーフィアスが潜在力を示すことでネオは自身の本性に次第に目覚めていきます。(このプロセスの描かれ方が見所です)
ネオが自分に授けられた能力を真実だと身をもって体験するのは、クライマックスで、モーフィアスが監禁され、その救出にあたってからです。
自身が救世主だと覚醒したのは救出に行くと決意した瞬間でした。
預言者オラクルは、そのときを予知していたのです。オラクルはアドバイス以外に重要なことは、何一つ言葉で伝えませんでした。モーフィアスが言ったように自分で掴むしかないことだったからです。
あらすじ⑩預言者:オラクル
ネオが訪れた時、預言者オラクルはクッキーを焼いていました。
The One=救世主
ネオに対して、「救世主ではない」と告げます。
オラクル:「私が何を言わんとしているか分かるわね」
ネオ:「僕は……The One(救世主)ではない。」
オラクル:「救世主かどうかは恋をするのに似ている。それは自分にしか解らない。心と身体、のすべてが実感するものなのよ。」
オラクルの意味がネオには届かなかったようです。
それでもオラクルはフォローします。
でもあなたは何かを待っているように見えるわ」
モーフィアスの意図に反して、オラクルの答えは、否定も肯定もしない曖昧なものでした。
「あなたの期待する答えと違ってごめんなさい」というニュアンスを込めて、「sorry」と答えるのみでした。
モーフィアスに対しても「あなたはThe Oneを見つけるだろう」という曖昧な予言しかしていない。どこにも確証も保証もないのです。
また、モーフィアスがネオを救世主と盲信しているため、モーフィアスは死んでまでネオを守ろうとし、ネオとモーフィアスのどちらかは死ぬことになると預言します。
あなたは選択を迫られるといいます。さらに
でも、この曖昧な態度が映画『マトリックス』の「君の信じる心が現実を作り出す」というテーマをダイレクトに表しているシーンなのです。
「The Oneは本当に実在するのか」「ネオはThe Oneなのか」という問答には何の意味もないのです。
大切なのは、本人が「どうbelieve(信じる)するか」であり、答えそのものが運命を決するわけではなく、行動が決めるのです。「心を解き放て」です。つまり世界を導くのは人間の信念に他ならないことを、この場面は示唆しています。
オラクルは、いずれネオが自らの命と引き替えにモーフィアスを救うか否かという選択を迫られることも示唆します。
すべてはモーフィアスの確信に始まり、ネオが自覚することで完成するのです。
あらすじ⑪脱落者:サイファー
二人と反対の立場にあり、対照的な人物が、モーフィアスを裏切るサイファーです。
口の中に放り込むとマトリックスが脳に信号を送りうまいと錯覚させる。
プラグを外されて9年、俺は悟ったよ。”無知は幸福”
サイファーは9年間の我慢に疲れ忍耐の限界でした。
モーフィアスの救世主伝説を信じておらず、トリニティーに好意を持っていたが相手にされなかった。密かにネブカデネザル号のメンバーを裏切ってエージェントと内通していたのです。
モーフィアスを引き渡すことを条件に、仮想世界に戻してもらうことをスミスと契約。現実世界にいる仲間のプラグを次々と抜き、死に追いやるのです。
船に戻った瞬間、タンクとドーザーを襲撃。更にエイポックとスイッチもプラグを抜いて殺害。そしてネオが救世主ならオレを止めるだろうといい、ネオのプラグを抜こうとした時、瀕死のタンクが逆襲されビーム銃で射殺されます。
ネブカデネザル号のオペレーターで『THE MATRIX』に登場する。サイファーに撃たれるが一命を取りとめ、ビーム銃でサイファーを射殺、ネオやトリニティーを助けた。その後はエージェントに捕まったモーフィアスの救出に向かうネオとトリニティーを援護する。
『RELOADED』では、『THE MATRIX』と『RELOADED』の間で起きた戦いで、戦死したことになっており登場しない。
あらすじ⑫「自分を信じているから」という選択
「マトリックス」が映像化した“現実よりも現実に見える仮想世界”という斬新極まりない概念とともに、VFXやアクションの“映像革命”に世界が拍手喝采した。難解なストーリーについていけなくても、静と動の切れ味最高の格闘シーン、紫電一閃のワイヤーアクション、いちいち斬新なキャラクター、このシーンに”『マトリックス』はスゴい”と口コミで広がった。
不安な気持ちで帰路に着くネオとモーフィアスらの前に、エージェント・スミスに率いられた警官隊が現れる。
レジスタンス生活に嫌気が差した仲間のサイファーが、マトリックスに戻ってセレブになる代償に、仲間の隠れ家を密告したのです。
モーフィアスはネオを守るために、身を盾にして戦いますが、逮捕されてしまいます。
エージェントの狙いは、人類最後の都市である「ザイオン」のメインコンピューターにアクセスするコードをモフィアスから聞き出すことでした。
薬物を使い、モフィアスの心を破壊しようとするエージェントたち。
その様子をコンピューターを通して見守っていた仲間のタンクは、ザイオンを守るためにモフィアスのプラグを抜いて安楽死させることを提案しますが、ネオが待ったをかけ、自分がマトリックスに侵入して、モーフィアスを救出すると決心します。
モーフィアスの確信に始まり、ネオが自覚することで完成するときがやってきたのです。
トリニティーもまた、真実の愛を感じるのでした。救世主(TheOne)誕生の瞬間です。
それは預言者オラクルが言ったように恋をするのに似ている直感的なものでした。
ネオは信じられない働きをしますが、ネオはエージェントに撃たれ、心臓は停止してしまいます。「さらばだ」とエージェントは言います。
モーフィアスたちは愕然とします。しかし、トリニティーは立ち上がります。
トリニティのキスによってプログラムが書き換えられ”The One” として覚醒する時を迎えます。
ネオは立ち上がる。
モーフィアスは言います。
マトリックスはコードを剥き出しにしてその本来の姿を表していた。
ネオはスミスの攻撃をものともせずに反撃し、スミスの内部に入り込んで破壊します。
そしてスーパーマンのように空に舞い上がり、映画『マトリックス第一部』はエンディングを迎えます。
まとめ
映画『マトリックス(1999)』が20年を過ぎても、まったく色褪せないのはCGでないこと以上に、無駄なシーンが一切ない尻尾の先まで上質の餡子がぎっしりつまったアクセル全開の傑作だからです。
なかでも、預言者オラクルとの出会いのシーンが重要なシーンと言われていますが。オラクルは「選択」を作り出すことにより人間の曖昧さ(=心)を追求する役割を担っています。選択の基準は「信じること」です。シリーズを通して明確になるのは、愛についての選択です。実は『マトリックス』は愛(=信じる)の映画なのです。
監督・脚本はウォシャウスキー姉妹(マトリックス製作当時はウォシャウスキー兄弟でした)
「関係ないわ」のセリフにこめられた想いが、これからはじまる3部作からなる物語を全表現しています。