ないしょシネマ:ノーカントリー/No Country for Old Men

絶滅危惧映画愛護協会ないしょシネマ こころデザイン
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ノーカントリー』は、2007年第80回アカデミー賞。作品賞、監督賞、助演男優賞(ハビエル・バルデム)、脚色賞の最多受賞作品。しかし異様な違和感満載の映画、人生にポジティブな影響がないでお勧めしないが、『前に踏み込む力』に気づくにはいいのかも知れない。

自衛隊ヘリ

お勧めしないのに、封印した映画が気になりだしたのは、統一地方選の結果に触れて、「ところで、安倍元総理は誰に殺害されたのか」ということから始まった。なぜ自民党は「黙っていても勝てるはずの奈良県知事の席を維新の会に譲ったのか?」という疑問が湧き上がり、『ノーカントリー』の原題『No Country for Old Men(老人のための国はない)」が除夜の鐘のごとくリアルに響きだしたのだ。さらに鐘が響いている最中に自衛隊ヘリが墜落という事件が起ったのです。
『ノーカントリー』に関するブログは山ほどあるようです。
本作が難解であるので理解したい欲求と、悪魔的な魅力にあふれているからです。
本作について詳しく知りたい方をこの先読んでいただいてもお叱りの対象になるだけなので、事前におことわりしておきます。
主役は、助演男優賞を総ナメにした殺し屋シガー役のハビエル・バルデムかと思うほど目立っていますが、ノーカントリー』の主役は出番は多くありませんが 昔かたぎの保安官、エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)です。コーヒー飲料のCMfでおなじみのヒトです。トミー・リー・ジョーンズ
ここをおさえておくことが映画を解く重要です。
この映画のメッセージは、冒頭のベルのコメントに集約されています。「私は25歳で保安官になった。ウソのようだ。私の祖父も父も保安官だった。少し前、ある少年を死刑にしたことがある。彼は14歳の少女を殺害した。新聞は“激情犯罪”と書いたが、本人は“感情はない”と言った。“以前から、誰か人を殺そうと思っていて出所したらまた殺す”と。どう考えたらいいのかまったくわからない。最近の犯罪は理解できない。恐ろしいわけじゃない。この仕事をするには死ぬ覚悟が必要だ。だが、魂を危険にさらすべき時は“OK”と言わねばならない。“この世界の一部になろう”と。


神
「俺が神でも俺を見放す。」
『“NO”と言った魂は老人なのか』を問う映画。

あらすじ(ネタバレなし)

ノーカントリー

乾ききった荒野で狩をしていたベトナム帰還兵のモスは、偶然ギャングたちの死体と麻薬絡みの大金200万ドルを発見する。 モスはその金を持ち逃げする。
ギャングに雇われた殺し屋シガーは、邪魔者を次々と殺しながら執拗に彼の行方を追う。
事件の発覚後、保安官のベルはモスとシガー、二人の行方を探る。
彼らの運命は予測もしない結末に向かっていく。。。

説明なしに話は進んでいくので、何が起こっているのか、どうなるかと乾いた画面に引きずり込まれる。アカデミー作品賞を受賞するだけの吸引力は流石です。

ノーカントリー

わかるはずがない

統一地方選の結果は・・・映画の中で重要な人物であるモス(ジョシュ・ブローリン)が深夜に起きて「(自分の居場所が)わかるはずがない」と呟いて札束が入ったカバンを探り始めるのに似た感触だ。

ノーカントリー

映画は「最近の犯罪は理解できない」というベルの語りから始まり、終盤には
自分が年をとったら、神が人生に入ってくると思っていた。だが違った。神を責めはしない。俺が神でも俺を見放す。
という印象的な台詞が飛び出します。
自分が年をとったら、神が人生に入ってくると思っていた。だが違った。神を責めはしない。俺が神でも俺を見放す。

昔かたぎの保安官エド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)、不気味な殺し屋アントン・シガー(ハビエル・バルデム)、寡黙なベトナム帰還兵ルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)の三人が、1980年代のテキサスを舞台に、麻薬密売に絡んだ大金めぐって非情な殺し屋に追われる違和感満載の異様なスリラー。

鑑賞後も記憶に残るのでトラウマが気になる人は見ないことをお勧めする。幸せな人生のために『ミニオンズ』を見ましょう!シリーズ5作品でハッピーになれます。

それに対してこの凄惨な映画『ノーカントリー』は、何の因果か、何を伝えたいのか。
『世界の一部になろう』だ!

監督はジョエル・コーエンとイーサン・コーエン、コーエン兄弟の監督作品。

アカデミー賞を獲得した世界的に評価の高い作品という評判に騙されないでください。

世界的に評価の高い作品であっても、ライフデザイン、ライフステージが気になる私が楽しく鑑賞できればいいので、世の中の評価は私には関係がない。

とはいっても一応気になるので、見たら、なんだ!これは!凄惨な殺人シーンのオンパレードで気分が悪い。なんでこれがアカデミー賞を取ったのかと怒りながら、地味ではあるが名優が続々登場するので、最後まで見てしまい、まんまと罠にはまった感。
見終わって絶対に「面白かった!」とはならず、あれは?と随所に考えることになること必至。
コーエン兄弟は天才的な映画師だ。自分の人生もこうでなければならない!

世界の一部になって
ヒトはみんな自分の人生の魔術師になろう!

見なかったことにしょうと封印して、『ミニオンズ』で気をとり直した。
人生はポジティブに行こう!

悪魔的な魅力は強いが、やり抜くためには、やらないことを決めることが大切だ。
マンダラチャートを作ろう!

ビザンチウムへの船出

ノーカントリー(ビザンチウムへの船出)

タイトルは邦題「ノーカントリー」だが、これでは意味不明。原題は『No Country for Old Men』。「老人のための国はない」になる。タイトルになった『No Country for Old Men』はノーベル文学賞を受賞しているアイルランドの詩人W・B・イェイツの『ビザンチウムへの船出』から引用されているそうだ。

ビザンチウムとは、イスタンブール(トルコ)の旧名。ラテン文化と東洋文化の接点で美しく精神世界と実生活が統合された地球上でも歴史上でも稀にみる理想郷と位置付けられる。朽ち果てる肉体の自然界から脱出して老いることのない精神世界へ旅立とうというわけだ。

映画の原作は、『血と暴力の国 』、ピューリッツァー賞作家コーマック・マッカーシーの作品、原題は映画と同じくNo Country for Old Men』。
死んだような静寂を背景に不条理な出来事が次々に起こる純文学の体裁で描かれた犯罪小説。

船出とは老いることへの覚悟を意味しているそうだ。
老いるには若くなければならない、生を生きるには世界とひとつにならなければならない。

『ビザンチウムへの船出』では、萎え衰えた肉体からその衰えを知らぬ精神へ、また醜悪な姿を曳きずっているこの現実から抜け出して本来的な生を生きるべく遥か彼方へと飛朔することの他に手立てはない、とイェイツは明快すぎるほどに訴えている。

あれは老人の住む国ではない。
若い者らはたがいに抱き合い、鳥は木々に止って
ーこの死んで殖えるやからー ひたすら歌う。
鮭がのぼる滝、鯖のむらがる海、
魚も、獣も、あるいは鳥も、夏のあいだじゅう
種を受け、生れ、死ぬ者らすべてを称える。
その官能の音楽にとらわれて、
すべてが不老の知性の記念碑をなおざりにする。(『対訳イェイツ詩集』)

と、まあ、老人とは年齢のことだけをさしているのではなく、青年と老年、肉体と精神、自然と芸術、さらに現実と彼方といった二律背反の問題に照準を充てて自身の生の遠近法を問いかけているそうだ。

私たちは普通に暮らす分では、「生」を意識することもなく、辛さばかりを実感しやすい。老いるほど精神世界に救いを求めるが、喜びもない代わりに苦悩もない。衰えていくとはいえ肉体を所有するから喜びがあり苦悩があることを思い知る世界で甘んじて生きる決意をする。

映画ではこの問いについて、登場人物の中でもっとも信頼出来るベル役のトミー・リー・ジョーンズが引き受けているようだ。「・・・・俺が神でも俺を見放す。」ベルは保安官という自分を見放し、自分の役割を再発見して、やらないことを決意して映画は終わる。つまり、できないことを思い知らされて映画は終わる。

ノーカントリー

オールドマンとは年齢と関係がない

ノーカントリー

映画の最後に登場する
ふたりの子どものように
世界とひとつになって
自然に向かって脱出しょう!
やらないことをリストアップしよう!

No Country for Old Men

「ようだ」というのは、この映画、分からないことが多すぎて、解明しょうとしたら、残酷な殺人場面を何度も繰り返し見るハメになる。しかも何度見ても、スクリーンの中に明白な答えはないので、想像力、洞察力、読解力を総動員して自分で答えを導かなければならない。
アカデミー賞を取った理由もそこにあるのだろう。
繰り返し見るなら、老人のための映画『ミニオンズ』だ。笑

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やっぱり映画は楽しいのがいちばんだ。『ミニオンズ』か古い東映の時代劇に限る。
ないしょシネマでは、『バクダッドカフェ』に触発されて単身アメリカに渡り結婚してしまった女性の例があるように、映画はライフデザインの一端だ

没入するなら映画ではなく、人生だ!人生こそまつりだ。
ヒトが何度でも聞きたがる創造しよう。
潜在意識にある人生脚本に勝る顕在意識の人生脚本だ!

潜在意識に出会ったら魂はライフプランを持ち出して対峙しょう。若者の存在証明だ。

スタッフ&キャスト

  • 監督:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
  • 製作総指揮:ロバート・グラフ、マーク・ロイバル
  • 製作:スコット・ルーディン、ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
  • 脚本:ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン
  • 音楽:カーター・バーウェル
  • 撮影:ロジャー・ディーキンス
  • 編集:ロデリック・ジェインズ
  • 衣装デザイン:メアリー・ゾフレス
  • 視覚効果:ルーマ・ピクチャーズ
  • 製作会社:ミラマックス、パラマウント・ヴァンテージ、スコット・ルーディン・プロダクションズ、マイク・ゾス・プロダクションズ
  • 出演者:
    トミー・リー・ジョーンズ
    ハビエル・バルデム
    ジョシュ・ブローリン
    ウディ・ハレルソン
    ケリー・マクドナルド
    ギャレット・ディラハント

2007年制作のアメリカ映画
2008年3月15日公開

受賞歴

ノーカントリー

  • ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞:作品賞、アンサンブルキャスト賞、脚色賞
  • ワシントンDC映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、アンサンブル演技賞
  • ニューヨーク映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞
  • ニューヨーク映画批評家オンライン賞:助演男優賞
  • ボストン映画批評家協会賞:作品賞、助演男優賞
  • シカゴ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞)
  • サンフランシスコ映画批評家協会賞:監督賞
  • サテライト賞:作品賞(ドラマ部門)、監督賞
  • サウスイースタン映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、脚色賞、助演男優賞
  • ダラス・フォートワース映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • オースティン映画批評家協会賞:助演男優賞、脚色賞
  • サンディエゴ映画批評家協会賞:作品賞、助演男優賞、撮影賞、アンサンブル演技賞
  • フェニックス映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、アンサンブル演技賞、撮影賞、脚色賞
  • トロント映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞
  • ラスヴェガス映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • フロリダ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、撮影賞
  • ユタ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚本賞
  • セントルイス映画批評家協会賞:作品賞、監督賞
  • デトロイト映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • オクラホマ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • ヒューストン映画批評家協会賞:作品賞、助演男優賞、名誉テキサス人賞
  • カンザスシティ映画批評家協会賞:助演男優賞、脚色賞
  • 放送映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • オンライン映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞、撮影賞、編集賞
  • USCスクリプター賞:脚色賞
  • ゴールデングローブ賞:助演男優賞、脚本賞
  • セントラルオハイオ映画批評家賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞
  • アイオワ映画批評家協会賞:作品賞、監督賞、助演男優賞
  • 全米監督協会賞:監督賞
  • ノーステキサス映画批評家賞:監督賞、助演男優賞、撮影賞
  • 全米映画俳優組合賞:助演男優賞、アンサンブル演技賞
  • 全米製作者組合賞:長編映画賞
  • ロンドン映画批評家協会賞:作品賞、英国助演女優賞
  • オンライン映画&テレビジョン協会賞:助演男優賞、アンサンブル演技賞、脚色賞、編集賞
  • アメリカ脚本家組合賞:脚色賞
  • 英国アカデミー賞:監督賞、助演男優賞、撮影賞
  • アカデミー賞:作品賞、監督賞、助演男優賞、脚色賞
  • イギリスBBC主催「21世紀の偉大な映画ベスト100」第10位

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