妖怪セイレンとスターバック

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白鯨」という小説の話は、ご存知だと思います。

アメリカの小説家・ハーマン・メルヴィルの長編小説。1851年に発表されたアメリカ文学を代表する名作、世界の10大小説の一つとも称され、何度も映画化もされた傑作です。
映画で有名なのは原作を忠実に再現したハリウッドで制作された「白鯨 (原題 Moby Dick)」1956年版でしょう。

捕鯨船ピークォド号の船長のエイハブは、かつてモビィ・ディックと渾名される白いマッコウクジラに片脚を食いちぎられ鯨骨製の義足を装着する人物。その報復への執念は狂気と化していたのです。

スターバックスはシアトル発の有名なコーヒーチェーンですが、海の街ということもあり、立ち上げる際に、海に因んだ名前を模索したといいます。最初に浮かんだのが、エイハブ船長が乗る「ピークォド」だったそうですが、「コーヒーを飲みに”ピークォド”に行こう」というのは違和感があるということで、知恵を絞った挙句にでてきたのが、やはり「白鯨」からの名前でした。

エイハブ船長を諌める冷静な一等航海士スターバックだったのです。

スターバックはアメリカが盛んに捕鯨を行っていた19世紀後半当時のアメリカ東部の大捕鯨基地ナンタケット島でよく見られた姓で、鯨取りのスターバックは言うなればパン屋のベーカー氏、といったニュアンスだそうです。

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さらにスターバックスのロゴには真ん中には髪をなびかせた女性が描かれていますが、この女性はギリシャ神話に登場するセイレン。海の妖怪です。その名の語源は「紐で縛る」で、海の航路上の岩礁から美しい歌声で航行中の人を惑わし、遭難や難破に遭わせる。歌声に魅惑された挙げ句セイレンに喰い殺された船人たちの骨は、島に山をなしたそうです。

セイレンはホメーロスの『オデュッセイア』に登場しますが、歌を聞かせて生き残った人間が現れた時にセイレンは死ぬ運命なので、最後には自ら海に身を投げます。死体は岩となり、岩礁の一部になったものの声は死なず、いまでもセイレンの歌声が船員に届くとその船は沈没すると言われているそうです。

自分ならそんな船に乗るなら、絶対沈まない鞄を持って乗り込みたいと思います。その鞄のなかには愛する人へのメッセージと一枚の写真を入れておきます。セイレンが鞄を開けたとき、感動に震えて、優しい歌を歌わせたいと思います。

それにしてもなぜ、そんな恐ろしい妖怪をロゴにしたのでしょう?
人を魅了するコーヒーの本質という意味だそうです。だから真ん中に描かれているんですね。

海には行かないが、湖には行こう。

 

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