『買い手よし、売り手よし、世間よし』の三方よしがあって、いいね(善)が循環できる。そのおかげで永続企業(持続性/サステナビリティ)の実現は可能になります。ステークホルダーのしあわせなしに三方はウェルビーイングが果たせない。永続企業という発想は最近始まったことではない。カーネギーの言葉「他人の利益に図らずして自らの繁栄はない」は「会社」を語る上で基礎的な鉄板の思想です。
ところが、お客様から預かったクルマを故意に傷けて、修理費用を水増し、顧客には保険で処理しておきますと・・・しかし保険は活用すればするほど保険費用があがる仕組みの商品。つまり「他人のふんどしで相撲をとる」のことわざを地でいく商売の氷山の一角でしかないのは明らか、こんな売り手よしに特化した成果独り占め企業には、ウェルビーイングのかけらも見られない。小学生でも解る悪どい「商売」が続くはずもないのに、平然とやってのける悪質企業が登場する背景には、自分だけは別だという思い込み、能力や技術があれば商売になるという間違った思い込みがある。その奥には、さらに深い闇に囚われた思い込みがあります。
思い込みを正して目に見えない「違い」を育むにはどうしたらいいのでしょう?
その謎と闇を駆逐するウェルビーイング、さらに『三方よし』の考えをご説明します。
人生脚本を書き直すウェルビーイングっなに?
人生脚本とは、幼児期に生じた人間形成の障害となる体験によって身につけた歪んだ無意識の人生計画です。一方、ウェルビーイング(Well-being)とは、持続的な心身と社会的な健康を意味する概念です。両者は逆を志向する立場にあるものの、生活上、役割性格に応じた発言や行動をするので、心理的に近い立場にないと気がつきません。
さて、Well-being(ウェルビーイング)とは、Well(よい)とBeing(状態)が組み合わさった言葉で、これといった決まった形があるわけではなく、「よく在る」「よく居る」状態、心身ともに満たされた状態=しあわせを表す概念で、わかりやすくいえば「いきいき、きときと」。その個人にとって究極的に善い状態です。 元々は1946年にWHO(世界保健機関)が示した「健康」の定義の中に登場した言葉で、16世紀のイタリア語「benessere(ベネッセレ)」が語源です。
ザ・キング・オブ・ロックンロール、デビュー仕立てのエルヴィス・プレスリーは、歌いはじめに、歌詞とは関係なくWell〜をできるだけ遠くに置くように発声し、置いたところへ向かっていくように歌い出すのです。聴衆は何が始まるのか彼の一挙手一投足に注目し、彼が楽器の演奏に乗って歌いだすと一斉に興奮していました。「よし、わかった。それじゃ、いくぜ」という意味なのでしょうか。それは全員の魂がひとつになって彼の後を追いかけるように全力疾走するようなものです。
一瞬の静寂を作り、自身と聴衆を一つにつなぐような役割を「Well」に託していたようです。beingとつなぐと「準備OKだ、いくぜ!」みたいな感じでしょうか?
ロックンロールの歴史はWell〜からはじまり、一瞬にして聴衆を興奮の坩堝に巻き込み、全員を引き連れて目標地点に向かって驀進する開放感が全米の若者を熱狂させました。エルヴィス・プレスリーが若者の身体を解放したと言われる所以です。彼は一夜にしてキングになりました。なぜ?その瞬間、味わったことのない神が肩に降りてくるような感覚を体験したのです。
「ザ・キング」と呼ばれたのも、ソロ・ミュージシャンとしてギネスになっている様々な記録もありますが、唯一無二の存在だったことがなによりの理由で、ウェルビーイングの要素が散りばめられているからです。
beingは「(いま)ある」で、doingが「する」行為、方法を意味するのに対してあり方を意味します。
ウェルビーイングのWellは、理屈ではなく「これがオレのあり方だ!」みたいな身体からの雄叫びと考えていただく方がふさわしいのです。
ウェルビーイングの際立った特長は、寄り添い、ただそばにいてくれるだけで、元気が出てくる唯一無二、和むような自律と共生が表裏一体で支援する。ウェルビーイングを語る時、欠かせない必要な要素です。
期待も執着もない無の努力がウェルビーイングになる
やりたいことをやろうとしたら必ず難しい問題に直面します。みんながそれぞれ縁で動いているので、縁にはポジティブなこともネガティブなこともあるので。避けようがありません、
「自分だけよし」を続けていると執着ばかりが強くなり、難に対処する力が身につきません。
難に出会う時は難に出会えば良く、どんな場合も成果三分配を忘れず、一歩一歩、平常心で難を乗り越えていくと社会人基礎力でいう前に踏み出す力や乗り越える力をつけると良いのです。人一倍の学ぶ好奇心とそれを支えるロマンと開拓者精神と揺るがぬ信念は面白がるのに欠かせない性質です。面白がる性質は宇宙船地球号にも自分忘れに最適です。
つまり現実は僅差しかないけれど、大きな差になってしまうのを乗り越えるには、僅差の生じないように、努力ではなく、正しい努力を続けて続けて続き抜くことを面白がることです。
正しい努力つまり「八正道」を説かれたのはブッダであり、最後の講座でした。八正道の教えは奇抜なものではありませんが、周活・週活・就活を粘り強く続ければウェルビーイングの素地が自然に出来上がっていきます。
一方で正しくない努力の成果にこだわらず手放すことができれば、質的に入れ替わりが怒り、ウェルビーイングが高まっていきます。成長すればなんでもいいわけではなく、ウェルビーイングを自然に育むには「執着」を一切捨てる潔さ、つまり「自分忘れ」が大切なのです。
執着を捨てる極意「自分忘れ」
正しい基準は簡単ではありません。私にとって正しくても他者には正しくないこともあります。正しいについてブッダは「自灯明・法灯明」で、
何代も受け継がれたからといって、その伝統を信じるな。
たくさんの人の間で語られ、噂になったからといって、それを信じるな。
あなたが所属する宗教の聖典に書かれているからといって、それを信じるな。
ただ貴方の先生や先輩の権威だからといって、それを信じるな。
しかし、観察と分析を行なった上で道理に合っていて、すべての者の利益になると貴方がわかったならば、それを信じなさい。
自己主張が強く、肯定感がしっかりしていないと社会で落ちこぼれてしまう競争社会に馴染んだアメリカ人と、否定感が強く主張が苦手な日本人では根本的に違います。
自己否定感は確かな肯定感、正しい結論にたどり着くためのプロセスなのです。慎重に真実にたどり着くために必要なプロセスであり、そこに奥義という言葉に通じる「極める」日本人の奥ゆかしさがあると言えるのではないでしょうか。日本に生まれて育ったなら、無意識に集合体のDNAを引き継いでいておかしくありません。
人生脚本とライフスタイル
人生脚本とライフスタイルは密接な関係にあり、ライフスタイルによって人生脚本を具現化して完成させます。特にライフスタイルの中でも日常的に繰り返される人間関係の構えである他者否定、自他否定によって破綻を迎えます。たとえば冒頭に紹介した「自分よし」しか頭にない企業犯罪を実践する者は明らかに他者否定、あるいは自他否定のライフスタイルを実践しているので、人生のクライマックスで自己否定を味わいます。
この自己否定は自己肯定感に繋がる学びのためのものではないので救いがありません。自他否定で誰かを傷つけるだけでなく、時には他者にトラウマを体験させることも少なくありません。
経済学の父、アダム・スミスは「経済活動は自由な利己心の追求が全体の利益の調和につながる」と自利利他と同じ意味のことを言い。アンドリュー・カーネギー も「人を豊かに出来ない人間が裕福になれる訳がない。」と言い残しています。利己心の追求の実体が、自己の利益の追求だけになれば終わりがきます。ところが経営者のみならず働き手にも多くいるのが現実です。このためせっかくうまく行ってたことが台無しにされることが少なくありません。その奥には会社員としての承認欲求があります。
三毒・四大苦・六大煩悩
貪欲(とんよく)、瞋恚(しんに)、愚痴(ぐち)の心は三毒の煩悩。三毒・四大苦・六大煩悩は誰をもしあわせにしないウェルビーイングの敵であり、人生の敵です。人生脚本は、誰を不幸にする六大煩悩を手の入れるためのドラマです。成果独り占め企業には、企業活動を通して六大煩悩を手の入れる戦いをしている指揮官が存在しています。ウェルビーイングにはマンダラチャートとセットで、この誤った人生脚本を書き直すチャンスがあります。
人生脚本はライフスタリル(人間簡易の構え)と5つの心の使い方を通じて具現化されます。5つの心とは父親の心、母親の心、大人の心、自由で無邪気な子どもの心、従順な子どもの心です。
まとめ
ウェルビーイングの際立った特長は、寄り添い、ただそばにいてくれるだけで、元気が出てくる唯一無二、和むような自律と共生が表裏一体で支援する。ウェルビーイングを語る時、欠かせない必要な要素です。歪んだ人生脚本があるとウェルビーイングはできませんが、ウェルビーイングとマンダラチャートには人生脚本を書き直す力があります。歪んだ人生脚本があると自己承認欲求が邪魔をするので、なにをするにしても問題を引き起こします。ライフシフトの成功の阻害要因になります。早期に書き直すことをおすすめします。
ゲンキポリタン大学
「社会人基礎力」(全6回)
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- 人生の方程式から外れない<イマジン>3つの自我の使い方
- メンタルモデルを変える5つの心とエゴグラム
- 般若のゴエス|自分を忘れるアサーティブ・コミュニケーション
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- ロジカルシンキング
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