先日、伊勢神宮の「おかげ横丁」を訪れた際に、テイクアウトオンリーだったので、荷物になるので諦めましたが、食べたかったのが熊野灘の絶品「さんま寿司」です。
熊野灘とは、和歌山県の潮岬から三重県大王崎にかけての海域で、絶好のホエールウォッチングのポイントです
「さんま寿司」は、三重熊野灘沿岸の漁村に昔から伝わる東紀州を代表する郷土料理です。
他にも、このエリアを代表する名産に、海洋深層水利用した「干物」
さらに太平洋の黒潮の海で獲れた鮮度のよいボラの卵を使用し、1本1本天日干しにした「本からすみ」があります。
この熊野灘には妖怪「磯天狗」に関する逸話が残っています。
おじいさんが若かった頃、夜、鳶ヶ崎の方で藻引き網漁を行っていました。
雨の降りそうな暗い夜。たいまつに火を点し、魚を獲っては腰のびくに入れていました。大漁でしたが、突如周囲が明るくなり、海田の空の方から風呂桶くらいの大きな火の玉が二つ、三つこちらに飛んでくるではありませんか。
これは磯天狗だと思ったおじいさんは、履いていたわらじを脱ぎ、頭にのせて念仏を唱えました。
「天狗が出たら、わらじを頭にのせるとよい」と聞いていたからです。
そのうち火の玉は南に飛び去りましたが、びくの魚はいつのまにか全てなくなっていました。
他にも磯天狗に魚を盗られた者は何人もいたといいます。
「天狗」と言えば、一般的に山などに棲む妖怪だと思われていますが、この「磯天狗」は海に出没する天狗です。
漁をしていると、怪火を伴って現れ、魚を盗られてしまう。外見的特徴は、よくわからないそうです。
民俗学者・日野巌氏の『日本妖怪変化語彙』によれば、天狗という名前に反して天狗の類ではなく、河童の一種とあり、怪火を出すものとされています。
海で天狗といえば「釣り天狗」という言葉があります。釣りの腕まえを自慢する人のことですが、関係あるかも知れません。
「磯天狗」の話は愛知の知多半島南端にある南知多や離島、佐久島などにも記録が残っているといいます。
海の妖怪と海の幸。妖怪さえ欲しがる熊野灘の名産は、伝統工芸である「尾鷲わっぱ」に入れて楽しみたいものです。
記事の内容は気に入っていただけましたでしょうか?
もしも当記事を読んで気に入って頂けましたら、
ソーシャルメディアボタンで共有して頂けますと非常に嬉しいです。
コメント