難解なマトリックスも「マトリックス レザレクションズ公開直前シリーズ」を読むと今日から達人です。ネタバレあらすじと哲学編でマトリックマスターになれます。
1999年に1作目が公開されてから20年以上が経過、“原点回帰”をキャッチフレーズにした続編『マトリックス レザレクションズ』がいよいよ公開されます。『マトリックスシリーズ』はいまも色褪せることなく、人生の真実に触れる奥深いストーリーが心を揺さぶります。
しかし、『マトリックス・レザレクションズ』公開が迫るのに、なにがなんだかワケわからん!壮絶な戦闘シーンをポカ〜ンと見ていただけという人も多数いるのも本当のようです。
意味わからんという人のためにここは外せないという重要ポイントだけでもわかるよう解説させていただきます。
マトリックスの世界に入る前に原点回帰
観た人の人生を変えると言われる映画『マトリックス』は、仮想現実を描いたサイバーアクションとしてSF映画の金字塔とされていますが、本質は心と世界の関わりをテーマにした哲学的な作品です。
映画『マトリックス』の原点は、「君の信じる心が現実を作り出す」というメッセージです。
裏返すと普遍的な価値観は存在しないことになります。
フランスの哲学者デカルトの「我思う、故に我在り」です。
映画では預言者オラクルの家で「汝、自身を知れ(”Temet Nosce”)」・・・ソクラテスの言葉が贈られます。
ネオは『リローデッド』でマトリックスの設計者アーキテクトから過去の救世主同様に人類の生命を選ぶか、トリニティーへの愛を選ぶかの選択を迫られます。ネオは迷わずトリニティーを選びます。躊躇なく選べたのは、「汝、自身を知れ(”Temet Nosce”)」に忠実だったからです。愛といのちは別物であり、いのち(経験)は繋がっていて、自分のものではないことを認識していたのです。それゆえにネオ自身は「救世主」でもないと理解していたのです。
では愛の役割は何?答えは『レザレクションズ』にあります。
なぜ、人類はAIに支配されるようになったのか。
では、まず人間たちが、なぜ人工知能に支配され、仮想世界に暮らすことになったのか、そのプロセスをご説明します。
映画『マトリックス』では、主人公の師「モーフィアス』によって語られますが、もっとも丁寧に説明されているのが、映画『マトリックス』と『マトリックスりローテッド』の間に、アニメでリリースされた『アニマトリックス」にわかりやすく描かれています。
『アニマトリックス」は9つのエピソードで構成されていてマトリックス3部作の監督・脚本を担当したアンディ・ウォシャウスキー、ラリー・ウォシャウスキー姉妹(兄弟)が手がけています。
チャンスがあれば、『アニマトリックス」もご覧ください。
人工知能の現在
人類が、なぜ人工知能に支配され、仮想世界に暮らすことになったのか、そのプロセスをご説明する前に、人工知能の現在を簡単に説明します。
人工知能(AI)は現在「特化型人工知能」と「汎用型人工知能」が存在しますが、「汎用型人工知能」はまだ実用化に遠い状態にあります。現在進化しているのは「特化型人工知能」です。
「特化型」とは専門分野をあらかじめ決めてあり、機械学習によって人工知能(AI)は日進月歩で著しく進化しています。映画『マトリックス』に登場する人工知能(AI)も、みんな役割を持っています。
人工知能は大きく分類して、特化型人工知能と汎用型人工知能があります。
現在、実用可能な人工知能は、特化型人工知能です。
特化型人工知能とは専門的な役割を持ったロボットです。限定された領域の課題に特化して自動的に学習、処理を行う人工知能を指します。具体的には、画像認識や音声認識、自然言語処理などの技術を持つ人工知能です。
現在ビジネス領域で広く活用されているAIは特化型人工知能で、機械学習を重ねる事で、すでに人間の能力を超えています。
映画『マトリックス』に登場する人工知能は「自我」を持ち全員役割を持っています。この設定が実に魅力的ですね。役割のないのは『レボリューションズ』に登場するサティーのような子どもだけです。つまり特化型としてもまだ未成熟なAiですが、『レボリューションズ』のラストシーンにご注目ください。
汎用型人工知能は2021年現在まだ実用化されていません。
人間は、想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できます。人間のような問題処理能力をもつAIが汎用型人工知能です。汎用型人工知能は、プログラムされた特定の機能以上の状況に対しても、自ら学習を行い、能力を応用することによって問題を処理できるとされています。実用化に高い期待が寄せられているものの、未だ実現はしていません。
映画『マトリックス』に登場する人工知能ロボットは、エージェント・スミスのように、専門分野に於いて想定外の出来事が起きた場合でも、これまでの経験に基づいて総合的に判断し、問題を解決できる人間のようなAIということができます。
では次に、仮想世界で管理されている人間と支配している人工知能の戦いのプロセスを時系列でご説明します。
マトリックスの哲学:「人間対人工知能の戦い」
モーフィアスは、ネオに、マトリックスがなぜ、誕生したのか、全プロセスを説明します。
ここではモーフィアスと同じくプロセスを一気にネタバレ開封でご説明します。
- 人間はコンピュータの依存度を高めながら便利さを享受して暮らしています。
- その結果、地球上でロボット(人工知能)が著しく発展します。
- ロボット(人工知能)が自我を持つようになります。
- 自我を持ったロボットと人間との間で皮肉にも戦争が勃発。
- 戦争が続きロボット(人工知能)が世界の大半を占領。
- 劣勢に陥った人類は太陽光エネルギーの遮断を考え、反撃に核爆弾を使用。
- 核爆弾の黒煙で空が覆い隠され世界は暗黒になります。
- ロボットは太陽光エネルギーで稼働していたので深刻な燃料不足に陥る。
- 燃料調達に困ったロボットは人間の電気信号を自らのエネルギーにする技術を開発。
- 人間はエネルギー量が少なく、すぐに寿命が尽きてしまう問題が発生。
- 人間の生体エネルギーから膨大な熱量を生み出せる事を知ったロボットは核融合と結合。
- 人間の死体を液化、生きた人間に栄養として注入、ロボットに培養されるようになる。
- 人間を培養し、人間の脳にプラグを繋ぎ仮想現実プログラムを体験させて「生きている」と錯覚させ仮想世界を支配する。
- 安定的にエネルギーの生産に成功する。
- 生まれた頃からプラグを挿されている人間は、仮想現実を現実だと認識してマトリックスの世界で一生を過ごすようになる。
- 仮想世界に気づいた人間が反乱を起こす。
- 2つ世界で戦いが同時進行する
・仮想世界では、エージェント・スミスVS人間の戦い
・現実世界では、機械軍VS人類の戦い
気づきのはじまり
主人公トーマス・アンダーソン(ネオ)のこのひとことから、現実世界の扉が開きます。同時に仮想世界への気づきがはじまります。トーマス・アンダーソンは仮想世界の住人の氏名で現実世界の名前がネオです。
同じような違和感を持っている人は、身近にいませんか。
私たちを悩ませる煩悩は、自分の脳内で作り出している「幻想」で、外部から入ってくる情報を、自分が捻じ曲げて、勝手に脳内で物語を作り出しているだけではないのか?脳にあるスクリーンに自分が思い描いたイメージを投影して「ああでもない」「こうでもない」とさまよっているだけではないのか?
もっとも身近な事例が後で説明するハーバード大学のレポートです。仮想世界からの脱出にマインドフルネスあるいは「禅」が現実的な対策になっている事例です。
マトリックスに囚われた人々が経験する現実は実は幻想だった・・・その衝撃が他人事に思えない。と感じた人が、その後自分なりに生き方を変えました。映画を観て人生が変わったという人たちに共通した点だと思います。
・・・が、それ以上に『マトリックス』に挑む主人公ネオが、さまざまなトレーニングを積んでも、なお、これまでの人生が心の反映にすぎなかったことから覚醒するのに時間がかかることに、頭でわかっても、実践できないことの難しさに共感されたのではないでしょうか?
それが映画『マトリックス』を何度観ても面白いことに繋がっていると思います。
その点が『マトリックス』の面白さで、次の「イデア論」で解く仮想世界の仕掛けより面白いのです。イデア論は『マトリックス』をとって舞台装置でしかありませんが、『マトリックス』を理解する上ではもっとも早道なので、次にご紹介します。
マトリックスの哲学:「洞窟の比喩(イデア論)」
映画『マトリックス』でもっとも関心の的になるのがマトリックスの住人となる人間の存在です。特にプラグに繋がれたネオの状況を理解するのに役立つのがプラトンの「洞窟の比喩」です。
ネオに代表されるマトリックスの住人たちは、プラトンが「洞窟の比喩」で話した囚人にそっくりです。それもそのはず、マトリックスの骨子は、大部分、プラトンの「洞窟の比喩」を映像化した作品です。
『マトリックス』は、ひとことで言うと、紀元前4世紀の巨人プラトンの哲学「洞窟の比喩(イデア論)」を近代的な映像に仕上げたものです。プラトンは師匠であるギリシャ哲学の祖ソクラテスのフィロソフィー(愛智:philosophy)つまり哲学からイデア論を想起しました。
「イデア論」は、あらゆるものの「本質」はこの世の中にはない。この世とは違うイデア界に存在しているという考え方です。
ソクラテス、孔子、釈迦、イエス・キリストら四聖人の一人、ブッダ(釈迦)が唱えた「五蘊皆空(ごうんかいくう)」さらには「西遊記」で三蔵法師がインドから持ち帰った経典「唯識((ゆいしき)」、唯識から発展した「般若心経」に通じます。般若心経は宗派を超えたお経として広まっています。唯識という文字から連想できるように、ただ識(八識)のみが実在しているという教えです。
映画『マトリックス』で描いている「仮想世界」の元ネタである『洞窟の比喩』は、古代ギリシアの哲学者プラトンが自身の著作『国家』にて、「イデア論」を説明する際にした思考実験です。
イデア論とは、「本当にこの世に実在するのはイデアであって、私たちが日常的に体験している世界はイデアを鏡映しにした偽物の世界である」という考え方です。
キリスト教の凋落を動機に学の立て直しを計ったデカルトの言葉「我思う、故に我在り」です。これを「唯識」では「りんごというからりんごがある」としています。「唯識」では言葉によって作られただけで実体はないとしたのです。さらに「私」と「あなた」と言葉で分別するから執着が起こると戒めたのです。
『マトリックス』では人工知能が学習をして「自我」を持ったことに因果があります。
イデアは、「物事の本来あるべき姿」「永遠の真理」をさす言葉です。プラトンは善のイデア、つまり「善そのもの」を目指すことが重要であると説きました。それがプラトンのイデア論です。人工知能の立場で考えると、自分たちのエゴのために核爆弾を使用した人類は許せない存在で、「善そのもの」を実践させるためにエネルギーの供給源にしたと言えなくもありません。▶︎『マトリックス』のエージェント・スミスのセリフの注目してください。
スミス:「人類の分類を試みていた時だった。人類は哺乳類ではないことに気づいたのだ。すべてのこの星の哺乳類は、無意識に周囲の環境と調和を取って発展してきた。だが、人類は違う。ある地域に移動すると、人類は自然の資源を使い尽くすまで増殖する。そして、生息地域を広げることで生き延びてきた。同じような生きる有機体が、この地球上にももう1種類いる。わかるかね?ウィルスだよ。人類は病気なのだよ。この星のがんだ。君たちはペストで、我々が治療するんだ」
「洞窟の比喩」
暗い洞窟内で鎖でつながれた囚人は、生まれた時から、洞窟に縛られて閉じ込められています。
囚人はみんな、洞窟の壁のみ見つめて生きています。
彼らの背後には火が灯されていますが、囚人は縛られていて振り返ることができず、その火の存在を知りません。
しかも、囚人と火の間には塀があり、その塀の上で人形を動かすと、囚人たちが見ている壁に人形の影が映しだされます。囚人たちは人形の影しか見えず、背後にある火や塀の存在に気付かないので、影が世界の全てだと思い込んだまま生きています。
ある日、一人の囚人の拘束が解かれます。自由になった囚人は後ろを振り返り、今まで自分が真実と信じて見ていたものが、火に照らされた人形の影だったことに気付きました。
さらに進んで洞窟を出ると、洞窟の中の火とは比較にならない明るい「太陽」の存在を知ります。
囚人は太陽のまぶしさに目をくらませてますが、少しずつ目を馴らしていくことで、やっと太陽を認識できるようになります。そして太陽こそ本当に全てのものを照らし、成り立たせている世界の真実だと知ります。▶︎『レボリューションズ』のラストシーンに注目です!
囚人は自分が知った真実を、洞窟の中の仲間にも伝えようとしますが、他の囚人は彼の話を信じようとしませんでした。洞窟の中の囚人たちにとっては影こそが世界のすべてで、世界の真実など知ろうともしないからです。プラトンは、解放されたときの囚人のさまざまな反応、つまり、新しい現実に肉体的および精神的に適応するのに苦労していることを説明します。
映画『マトリックス』のトーマス・A・アンダーソン、別名ネオは、天才ハッカー、モーフィアスに「TheOne(救世主)」と見なされた後、2つの選択肢「青の薬を飲めば、元通りの生活に戻る。赤の薬を飲めば真実を知ることができる」と提示されます。
ネオは赤の薬を飲みます。現実の真実を選択します。
こうして人類の解放のための戦いの扉が開かれたのです。
次はあなたが現実世界の扉を開く番です。
いまそこにある人工知能
2021年10月28日、フェイスブック社が社名を「メタ」に変更すると発表しました。
新社名は「メタバース(metaverse)」事業の拡大を示唆しており、世界が“新たな領域”へ突入します。利用者はアバターと呼ばれる分身を操作して空間内を移動し、他の参加者と交流。人々は現実と同じように仕事をし、語り合い、生活を営むことができる。というもの。遠くない未来に主流になると予測されます。
この最先端の概念を、20年以上前に先取りした映画が『マトリックス』(1999)です。
脚本・監督のウォシャウスキー姉妹にノーベル賞を!
『マトリックス』を最先端の概念を映像化したサイバーアクションとして楽しむか、この世の真実を描いている深遠な作品として鑑賞するか、鑑賞される方の選択のセンスです。
ベイズ理論と懐疑論
人工知能(特にディープラーニング)におけるもっとも重要な考え方である「ベイズ理論」は、ヒュームの「懐疑論(奇跡論)」に対する反論から生み出されました。
ディープラーニングとは、十分なデータ量があれば、人間の関与なしに機械が自動的にデータから特徴を抽出してくれる、昨今注目を浴びているディープニューラルネットワーク(DNN)を用いた学習のことで、ニューラルネットワーク(NN)というパターン認識をするように設計されたプログラムです。
これ自体が人工知能ではなく、人工知能>機械学習>ディープラーニングという位置付けで、人間や動物の脳神経回路をモデルとしたアルゴリズムを多層構造化したものです。
ペイズ理論の活用例として有名なものに、次のようなものがあります。
- 検索エンジン
- 接客行動と顧客の反応率
- 病気の罹患率
映画『マトリックス』は1999年に公開されましたが、2000年から「ヒューム」と名付けられたプログラミング言語の開発が続けられており今日に至っています。この「HUME」というのは、「高次統合メタ環境」を意味する英語(Higher-order Unified Meta-Environment)の頭文字をとったもので、かなり高度な設計がなされています。偉大な哲学者の名前がプログラミング言語の名前に使われるほど、両者にはつながりがあります。
「ベイズ理論」の元ネタとなる「懐疑論(奇跡論)」は、ヒュームが、イエス・キリストの復活について、「それを見た」という証言がきわめて少ない以上、それは「確からしくない」としました。「証言」そのものの真偽を問うのではなく、その「証言」の数や確率を問うたわけです(確率論)つまり科学者に対して、幽霊やUFOがこの世に存在するか否か、と問えば、どんな目撃話もそれほど信ぴょう性がなく、「それは存在しない」と言い切られます。東洋医学と西洋医学の関係性も似ていますね。
ヒュームは、そもそも人間とは絶えず情報を受け取り変わり続ける「知覚の束」にほかならない曖昧な存在だとしたのです。これに反論した「ベイズ理論」(18世紀)とは、「あり得る」ことが一定程度集まれば、充分に信ぴょう性が担保されるというものです。ここにコンピュータと神が同じテーブルに乗ったわけです。
映画『マトリックス』はここを礎として発展した人工知能VS人間の壮大なドラマが展開します。そしてペイズ理論と懐疑論を反映した登場人物がアーキテクトとオラクルです。
映画『マトリックス』では、曖昧を司るプログラムが預言者オラクル、人間は嘘をつくと信じているマトリックスの設計者アーキテクトとして登場させます。それぞれをマトリックスの母と父と位置付けています。
マトリックスの哲学:水槽の中の脳
映画『マトリックス』は仮想現実を描いていますが、よく似た話に「水槽の中の脳」という仮説があります。水槽の中の脳とは、上の図のように、人から取り出した脳が死なない特殊な成分の培養液で満たした水槽に脳を浮かべます。脳は神経細胞を通る電気信号で意識・感情・思考を働かせているので、電極を繋いで脳波を微弱な電流操作をすることで「仮想現実」を脳に体験させ、それを私たちが認識しているだけではないのかというものです。(参考:水槽の脳 – Wikipedia)
「水槽の中の脳」は、映画『マトリックス』の舞台に酷似した発想です。
マトリックスの世界の住人は後頭部に挿されたプラグに電気信号を流され、知らず知らず仮想現実の中で生かされ続けています。
大半の人間は目覚めることなく仮想現実の中で一生を終えます。
これに気づいて、覚醒した人間たちが映画の主人公たちであるネオやモーフィアス、トリニティーたちです。さらに一歩踏み込むと「仮想現実で生きているのは私たちそのものかも知れない」というのがもっとも重要なポイントなのです。人生が変わった人たちはそれに気づかれたのではないでしょうか。
宗教界・医学界からも高い評価を得た哲学的な映画
日頃、私たちが「自分」、あるいは「世界」と捉えているものは、自身の思い込みが作り出したイメージに過ぎない、私たちは自分の脳がスクリーンに映し出した世界を見ているようなもので、心を解き放てば、空を飛ぶこともできるという教えをビジュアル化したのが「マトリックス」です。
事実、空中を歩く禅僧は存在します。あるいはドイツ人哲学者オイゲン・ヘリゲル氏の日本滞在中の体験を描いた「弓と禅」をお読みください。線香の明かりだけで、離れた的を射抜く禅僧との交流から驚愕の事実に触れることができます。
『マトリックス』は多分にキリスト教的なスピリチュアルな世界にお釈迦さま(ブッダ)の思想を流し込んで、日本のコミック『攻殻機動隊』からインスピレーションを得たサイーバーアクションに仕上っています。
『マトリックス』3部作のなかでもエピソード1の評価がずば抜けて高いのは、意識、無意識に関係なく「禅の思想」が色濃く反映されていることが影響しているのではないでしょうか。宗教界、医学界からも世界的に高い評価を得ているのは、慎重に潜在能力の気づき、仏性を認識する根気を描いている点です。これは本作の重要な見所のひとつになっています。
新作『マトリックスレザレクションズ』はエピソード1の続きと言われている点でも期待度が98%近くにまで高まっているのは当然です。但し3部作はウォシャウスキー姉妹が監督しましたが、新作では妹のリリー・ウォシャウスキーは「(他の作品で)疲れが頂点に達した」とリタイアしています。
「マトリックス」とは?
マトリックスはこの世の真実を描いていると私に言われている作品で、一番の見所は思考は現実化する(ナポレオン・ヒル)にあります。私は毎朝、シンクロニシティを引き寄せて自分の過ちを取り返すために神社に参拝しています。過去は未来から修正できると信じています。未来を望むものにすれば過去は必要な失敗に書き換わるからです。
マトリックス(matrix)とは「子宮」を意味するラテン語が語源で、転じて「何かを生み出すもの」を意味する言葉です。映画『マトリックス』では「仮想世界」のことです。
マトリックス(matrix)という言葉は、ウィリアム・ギブスンという小説家が自身のSF小説「ニューロマンサー」で使ったのが始まりと言われています。
コンピューター・ネットワーク上のサイバースペース(電脳空間)に築かれた「仮想現実空間」、人類の全コンピューター・システムから引き出されたデータの「視覚的再現」、「共感覚幻想」のことを「マトリックス」と呼んでいます。(出展:マトリックス – Wikipedia)
また、行列式のことを指したりもします。イメージしやすいものだと、エクセルの行と列のこともマトリックスです。コンピュータプログラムの基礎となる要素でもあります。
それらを踏まえてSFの世界では「プログラム上で生み出された仮想世界」のことをマトリックスと呼びます。映画『マトリックス』的に表現すると、目覚める前のマトリックスとは物理的な刑務所ではなく、心の刑務所と言った方が一番適切な気がします。その意味であなたも私も、その一員です。!!
マトリックスの哲学:二匹の魚
社会は洗脳し心を独占し人々を取り込みます。取り込まれた人々はこれが現実だと私たちは疑いもせずに暮らしています。自分がその中にいることさえ気づかないのです。
スティーブ・ジョブズのスピーチよりもいいと話題になったデヴィッド・フォスター・ウォレスの2005年ケニオン大学の卒業式で行われたスピーチでの「二匹の魚」の話がわかりやすい事例です。
海中を泳いでいると先輩の魚が現れて「今日の水はどう?」と尋ねます。
「えっ、水ってなに?」と若い魚は先輩の魚に答えます。
『マトリックス』の感じを上手く表現している例ですね。
ずっと水の中にいる魚は自分たちが水の中を泳いでいるなんてことは考えもしません。
現実とは何なのだと改めて考えさせられる話です。現実が何かを計り知るのに、例えば、常識と呼ばれるもの、世の中で正しいと見なされるような尺度が当てはまるとは限らないのです。
デヴィッド・フォスター・ウォレスのことは映画「人生はローリングストーン」になっています。
この話は、幸せだとどんどん実感が乏しくなって「欠乏感」にすり替わり「幸せ」でないと感じる錯覚が日常化することを語っています。
恋愛、結婚生活では特に顕著です。関係がうまくいってると、ドキドキ、ワクワクが薄れて、反動から刺激を求めて、わざと喧嘩をしかけて大喧嘩になり最終的に別れてしまうのに似ています。
思考は現実化するネガティブな一例です。火のないところに煙を立てて火事にしてしまう笑えないことを人間はやってしまう。いまここを腹七分目で満足して暮らす習慣を大切にしたいですね。
『「マトリックス」を観て、人生が変わった』方は、このような点に気づいたのも多いのではないでしょうか。
マトリックスの世界:名前の由来と登場人物
ネオ(Neo):「近代の」「新しい」という意味を持つギリシャ語の「neos」が語源。THE ONEのアナグラムであり、復活(=救世主)、「選ばれし者」(キリストのような存在)という意味を持ちます。
仮想世界(マトリックス)と気づかず暮らしていた優秀なプログラマー。トーマス・A・アンダーソンの裏の顔は「ネオ」と呼ばれ、あらゆる電脳犯罪に手を染めるクラッカーだった。
モーフィアスとコンタクトを取ろうとしたことからエージェント・スミスに目を付けられ、追跡プログラムを仕込むための囮として捕縛される。その後ネオを探していたモーフィアスに出会う。
モーフィアスと出会い、選択を迫られた末に、現実世界の住人となる。
オラクルとの会話から自分が救世主ではないと悟るが、エージェントとの戦いで自分の意識がマトリックスの法則を突き破りかけていることを感じ、徐々に彼自身「自分が救世主ではないか」と信じ始める。仮想世界でエージェントとの戦いの末に撃ち殺されたが、その時トリニティーの愛によって蘇生し救世主として覚醒する。救世主の能力とはマトリックスの情報を分解し、自分の望むとおりに書き換えることで自分の意識が届く範囲に対してマトリックスを操作することであり、エージェントがマトリックスを支配できるなら、自分はマトリックスを無視できることである。
彼はその力を使って、マトリックスに繋がっている人類にマシンへの宣戦布告を呼びかける。
モーフィアス(Morpheus):ギリシャ神話に登場する夢の神モルベウス。
鼻眼鏡のサングラスをかけている伝説的なハッカー。
最後の人類の都市(ザイオン)に属する工作船・ネブカデネザル号の船長。仮想世界の中では最も危険なテロリストとみなされている。救世主の存在を頑に信じ、ついにネオと出会う。ネオが救世主だと信じきれないザイオンの幹部から煙たがられ次第に孤立する。マトリックスに入り共に戦う戦士たちや、他の船長からの信頼は厚い。
トリニティー(Trinity):キリスト教の三身一体の精神に由来。
ネブカデネザル号の副船長。黒髪のショートカットの美女。かつては国税局のコンピュータに侵入した凄腕ハッカーだったが、モーフィアスと出会って仮想世界の真実を知り、共に戦う。ネオの案内役として現実世界へと導き、以前から彼に好意を持っていた。サイファーからの好意は無視し、サイファーが反乱を起こした時に殺されかけるがタンクに救われる。モーフィアスが捕縛された時にネオと共にビルに侵入し、エージェントと戦い救出する。ネオがスミスに殺された時、自身の愛でネオを蘇生させる。
オラクル (Oracle):預言、神託、託宣。神の言葉。または、それを受け取る人(預言者、シビュラ)、受け取る場所(神託所)。古代ギリシアでは、デルポイのアポロン神殿の神託所、およびその神殿の入り口に刻まれていた格言(通称「デルポイの神託」)が有名。
老女の容姿を持ち「選択」を司り、人間の行動を理解・予測するために創られた直感プログラム。
モーフィアスや評議会ら人々を導く役割をしている。マトリックスを設計したアーキテクトとは正反対の位置に立つ役割から、エグザイル(流浪者)という生き方を選択している。未来を見通す“預言者の目”を持つ。「未来予知」とは「自らの選択」で成り立つと語り、選択を超えた(自分で選択したわけではない)未来の予知は不可能であると語る。
尚、オラクルは3作すべてに登場しますが、『マトリックス』『リローデッド』と『レボリューションズ』では演じる俳優さんが変わっています。前2作のグロリア・フォスターが『レボリューションズ』を遺作に心臓病で永眠されたので『レボリューションズ』ではメアリー・アリスが演じています。そのため外見の変化の理由を映画内で説明しています。
アーキテクト(Architect):
マトリックスを設計・創造したプログラム。白髪の老人。『リローデッド』にてネオを自らの元に導き、「次世界の創造のために現在のザイオン(人類)を見捨てる」か「人類と機械双方の破滅を選ぶ」かの二択を迫る。純粋な「理論」に基づいて動作しているため、人間の持つ「曖昧さ」が理解できず、「Yes」か「No」の選択しか提示・選択できない。そのため、過去に何度かマトリックスの運営に失敗していることを告白している。
「預言者」のオラクルは、人間の持つ曖昧さを理解するために作ったプログラムであり、アーキテクトをマトリックスの「父」とするなら、オラクルは「母」であるとしている。
ザイオン(Zion):聖書に出てくる理想郷のこと。人類最後の都市。
エージェント:マトリックスを守る監視プログラム。マトリックスを破壊しようとする者を排除する役目を持つ。セキュリティソフト(ワクチンソフト、アンチウィルスソフト)に該当する。ハッカーであるザイオンの接続者(人間)や、不正規プログラムであるエグザイルを「削除」する役割を帯びている。
エージェントたちはマトリックス内では政府の人間として扱われ、警察や軍よりも上位の存在として振る舞える。オフィスも警察が厳重に警備するビルの中にある。インカムで連絡を取り合っており、みな深緑色のスーツに黒いサングラスを使用する。マトリックスに繋がっている人間であれば、強制的に「上書き」して体を奪うことができる。そのため、死亡しても体を乗っ取って復活する。しかし、一人のエージェントが二人以上存在することはできない。
エージェント・スミス:3部作すべてに登場するエージェントのリーダー。ブラウン、ジョーンズと行動する。エージェントでありながら、本心ではマトリックスから解放されることを望んでいて、各船長のみに与えられているザイオンへのアクセスコードを得ることに固執する。
モーフィアスら一味を追い、囮としてネオを捕獲。モーフィアスを拘束し、自白プログラムでザイオンへのコードを聞き出そうとするが失敗する。廃墟のホテルで逃げたネオを待ち伏せて殺すが、救世主として蘇生したネオに倒される『リローデッド』では、エージェントとしてのプライドを捨ててネオへの復讐心に燃え、ソースに戻るルールを拒否して復活する。
ネブカデネザル号の乗組員
モーフィアス
船長はモーフィアス。
2069年にアメリカで製造されたホバークラフト。『リローデッド』終盤に破壊されてしまう。
タンク
ネブカデネザル号のオペレーター
『マトリックス』に登場する。サイファーに撃たれるが一命を取りとめ、ビーム銃でサイファーを射殺、ネオやトリニティーを助けた。その後、エージェントに捕まったモーフィアスの救出に向かうネオとトリニティーを援護する。
『マトリックス』と『リローデッド』の間で起きた戦いで、戦死した設定のため『リローデッド』では、登場しない。
ドーザー
ネブカデネザル号のオペレーター
『マトリックス』のみに登場。タンクの兄。弟(タンク)と共にネブカデネザル号のオペレーターを務める。サイファーの凶行を阻止しようとするが射殺される。実は、ザイオン生まれの人間。
リンク
ネブカデネザル号の新オペレーター。
『リローデッド』、『レボリューションズ』では、モーフィアスたちを援護する。ジーの恋人。モーフィアスを心から尊敬している。オペレーターとしての経験は長い。タンクの遺言に従ってネブカデネザル号に志願した。
エイポック
トリニティー、スイッチと行動している。
『マトリックス』のみに登場。ネオが救世主であることを祈っている。船に戻ったサイファーにプラグを抜かれて仮想世界で死亡。
スウィッチ
『マトリックス』のみに登場。気高く荒っぽい性格の女性。船に戻ったサイファーにエイポックの次にプラグを抜かれて仮想世界で死亡。
マウス
『マトリックス』のみに登場。船員の中では一番小柄かつおしゃべりである。
マトリックスのことを説明する訓練プログラムを書いた。“赤いドレスの女”は彼の自慢。
仮想世界で他のメンバーがオラクルに会いに行く間、留守番を受け持つが、エージェントに出口を塞がれSWAT隊に射殺される。、
サイファー(レーガン)
『マトリックス』のみに登場する裏切り者。
モーフィアスの救世主伝説を信じておらず、トリニティーに好意を持っていたが相手にされなかった。赤い薬を飲み現実生活を選択したのを後悔している。
9年間のレジスタンス生活に嫌気がさしていて、密かにネブカデネザル号のメンバーを裏切ってエージェントと内通する。モーフィアスを引き渡すことを条件に、仮想世界に戻してもらうことをスミスと契約する。
船に戻った瞬間、タンクとドーザーを襲撃。更にエイポックとスイッチもプラグを抜いて殺害したが、瀕死のタンクに逆襲され倒された。
ソクラテスは「人はどう生きるべきなのか」、「正しい行いとはどういったものか」といった“倫理学”の道を切り拓き、その後継者プラトンは善のイデア、つまり「善そのもの」を目指すことが重要であると説きましたが、その対極にある人物がサイファーでした。
ビジラント号の乗組員
ソーレン
ビジラント号の船長。
評議会でナイオビと共にモーフィアスを探すことに賛成した。仮想世界で発電所の破壊に向かうが、現実世界でセンチネルズの放った爆弾メカ「トゥボム」が船に直撃し死亡。
『ENTER THE MATRIX』では、エージェントに捕まったアクセルを助け出すため登場。
アクセル
他メンバーは仮想世界の発電所の破壊に行くが、ジャックスと現実世界に残る。センチネルズが接近したことにより砲台に向かおうとするが、老朽化していた船内の床が壊れ落下し死亡。
『ENTER THE MATRIX』ではエージェントに捕まりナイオビの助けで脱出するも、再びエージェントに捕まりゴーストの助けにより救出される。
バイナリー
ビジラント号の女性船員。船長たちと仮想世界の発電所を破壊しに行くが、ソーレンと同じくして死亡。
ベクター
一等航海士の黒人。船長たちと仮想世界の発電所を破壊しに行くが、ソーレンと同じくして死亡。
ジャックス
オペレーター。現実世界に残っていたが、船内でのアクセルの落下の際、その破片の鉄筋によって串刺しにされ死亡。
ロゴス号の乗組員
ナイオビ
ロゴス号船長で『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場する勇敢な女性戦士。ゲーム『ENTER THE MATRIX』では主人公の1人でもある。以前はモーフィアスと付き合っていたが、現在はロック司令官と付き合っている。車や船の運転の達人。
『リローデッド』ではトラックから落下したモーフィアスを助け、『レボリューションズ』ではロゴス号より巨大で操縦が難しいハンマー号をモーフィアスのサポートの下、乗りこなし、通常飛行不可能な狭い地下通路を通り、ザイオンへと生還した。
マトリックス内で車を使用する際は、愛車のポンティアック・ファイヤーバードを使用する。
ゴースト
常にナイオビと行動し、厚く信頼しあう関係。
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。ゲーム『ENTER THE MATRIX』では主人公の1人でもある。射撃の名手で武器のチェックは怠らず、現実世界でもハンマー号の機銃を使い多くのセンチネルを破壊した。
『ENTER THE MATRIX』では、トリニティーとは兄妹のような関係で、組み手をしたり、気軽に下世話な話もできるほどに仲が良い。好意も寄せていたようだった。
スパークス
ロゴス号のオペレーター。
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。特に『ENTER THE MATRIX』に登場する。
『リローデッド』では台詞なしの登場。愛称は「スパーキー」。芯が強い人物で、時には2人にきつく警告する。たいていは軽く流され聞いてもらえない。『ENTER THE MATRIX』では、彼のオペレートが重要となる。
カデューシャス号の乗組員
バラード
カデューシャス号船長。
『リローデッド』、『ENTER THE MATRIX』に登場。最初の下水道の会議でオラクルからの伝言を受けるため、補給が必要なモーフィアスに代わって仮想世界に残った。スミスが乗り移ったベインによって殺害される。
『ENTER THE MATRIX』では、セラフと手合わせをしている。
ベイン
一等航海士。
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。『リローデッド』では最初の下水道の会議でオラクルからの伝言を受けるため仮想世界に残ったが、スミスに見つかり追われマラカイを逃がす。責任感が強く真面目な人物。スミスに捕まり乗っ取られ、これを把握していない仲間が帰還回線を開いたため、肉体はそのまま精神のみスミスとなった状態で現実世界へと戻った。
その後は始終薄ら笑いを浮かべ、スミス以上に人を食った態度の危険人物に変貌する。ネオに対する暗殺行為は皆ことごとく失敗。その後ザイオン艦隊が機械軍を迎撃しようとした際、EMPを早く作動させ、艦隊の機能を喪失させ全滅させる。自分は昏睡状態でローランドのハンマー号に救出・収容される。
『レボリューションズ』では昏睡状態から目を覚ます。皮膚の乱れから精神錯乱を疑われ、また手に自傷までも発見されたが、ネオを含め艦隊の誰も真相に気づかなかった。船医のマギーを刺殺しハンマー号から逃走。ロゴス号に潜伏してネオとトリニティーに襲い掛かる。電流をネオの目に流し失明させたが、ネオに倒される。
マラカイ
一等航海士
『リローデッド』のみに登場。オラクルからの伝言を受けるため仮想世界に残ったがスミスに見つかり追われ、ベインより先に逃げる。最後にはスミスが乗り移ったベインに殺害される。
ハンマー号の乗組員
ローランド
ハンマー号船長
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。『リローデッド』では全滅した迎撃艦隊の中で、唯一生き残ったベインを救助する。またセンチネルに破壊されたネブカデネザル号から脱出したモーフィアスたちを助ける。
『レボリューションズ』ではマシンシティへ行こうとするネオの提案を無謀すぎると一笑し、ハンマー号を貸して欲しいという頼みを断る。ザイオンへの急行にも難色を示していたが、ナイオビに押し切られる形で渋々認める。以降はモーフィアスやナイオビ達と共にハンマー号でザイオンへの帰還を図る。
マギー
ハンマー号船医
『リローデッド』ではセンチネルを破壊し昏睡したネオや生き残ったベインの看病をする。
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場するが、『レボリューションズ』では目を覚ましたベインによって刺殺される。
モーゼル
ハンマー号の黒人乗組員『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。
名前は銃のメーカー名に由来する。
コルト
ハンマー号の一等航海士
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。名前は銃のメーカー名に由来する。
エーケイ
ハンマー号のオペレーター
『リローデッド』、『レボリューションズ』に登場。名前は自動小銃の名に由来する。
ノヴァリス号の乗組員
ティラント
ノヴァリス号のスキンヘッドの船長。
『リローデッド』に登場。EMPの誤作動によってセンチネルに襲われ死亡。
グノーシス号の乗組員
アイス
グノーシス号の金髪で短髪の女船長。『リローデッド』に登場。
コラプト
グノーシス号のクルー。
『リローデッド』に登場。冒頭の会議の時は入り口で見張りをしていた。スミスから「彼に渡したい物がある」とイヤホンが入っている封筒を受け取りネオに渡す。
ワーム
グノーシス号の黒人のクルー。
『リローデッド』に登場。冒頭の会議の時はコラプトと入り口で見張りをしていた。
イカロス号の乗組員
アジャックス
イカロス号の黒人の船長。
『リローデッド』に登場。冒頭の会議ではオシリスのスキャン結果を否定していた。
マトリックスに学ぶ「仮想世界に住んでいる事実」
仮想世界で生きるか?現実世界で生きるか?
ハーバード大学の調査では1日の47%が、過去と未来を考えているという報告がされています。
つまり一日の半分が「いまここ」から離れて仮想空間に身をおいて暮らしています。
同調性を重んじて、抑圧傾向が高い日本人の場合、もっと高い数字が出るでしょう。
ネオが夢見るように仮想世界を見ながらプラグに繋がれていたように、地球規模で人類は自ら雑念のプラグを挿しているのです。ストレスフルな一日を過ごすことでエネルギーを放出し、ドーバミンの神経回路が刺激されっ放しのご褒美を得ています。
この雑念のことを「マインドトーク」といいます。マインドトークは勝手に脳がおしゃべりをしている状態です。現代人はやたら忙しいといいますが、その実態は1日の半分はマインドトークで占められれいるのです。さらにSNSに使う時間を加えると、自分の人生を生きているのはごくわずかということになりませんか?この仮想世界からの脱出方法としてマインドフルネスが先進的企業「GAFA」などから提唱されたのです。
マインドフルネスと禅は同じものですが、従業員に宗教の強要にならないように配慮したので宗教色をマインドフルネスでは廃しています。禅は仏教を学ぶためのトレーニングに徹したものですが、両者の違いをわかりやすくいえば、マインドフルネスが対処療法的な扱いに留まるのに対して、禅は解決すべき問題の有無にかかわらず自身を豊かにするためのものです。ですから禅では食事のあり方から学びなおします。『マトリックス』に於いても「粥」のことを云々する場面がありますが、裏切り者サイファーが粥を否定し、「無知こそ幸せ」というシーンは印象的です。
仏教はブッダ(お釈迦様/本名:ガウタマ・シッダールタ、パーリ語ではゴータマ・シッダッタ)の教えですが、宗教というより哲学です。
他の宗教のように拝む対象がありません(仏壇に向かって拝んでいるのはご先祖様です)。
ブッダの教えとは、「一切皆苦」の解決です。「一切皆苦」とは生老病死(しょうろうびょうし)の四つで、誰もさけることができない苦しみとのつきあい方を説いたものです。
つまり人類を仮想世界から解放しょうと戦ったネオとブッダは偉大な仲間なのです(笑)
仏道をならふといふは、
自己をならふなり
自己をならふというは、
自己をわするるなり。
自己をわするるといふは、
万法に証せらるなり
万法に証せられるいふは、
自己の心身、他己の心身をして
脱落(とうらく)せしむるなり。実際にすごい迫力で語られる言葉を現代語に訳すると次のようになります。
仏教を学ぶということは、
自分を学ぶことである。
自分を学ぶとは、
自分を忘れることである。
そして、世界の森羅万象から
直接教わるのが学ぶことの本質であり、
その際には、
徹底的に謙虚にならなければならない。赤のマーカー部分が仮想世界、青のマーカー部分が現実世界と読めないでしょうか?
現実世界とは、自分が実践のなかで獲得するしかないものです。
つまり・・・
仮想世界を脱ぎすてる(=脱出する)ことが現実世界に戻る唯一の方法なのです。
ここでいう「自己をわするる」とは、自分を喪失することではありません。
欲望や自己中心的思考に振り回されている仮想世界の自分に目覚め、仮想世界から解放されることをいうのです。それは真の自己の回復を意味します。そして、そのような真の自己が回復されたとき、支配されてきた自分は、実は光輝く現実世界のなかに生きていたことに気付くのです。
映画『マトリックス』は私たちに警鐘を鳴らしているように思うのです。
先に、キリスト教的なスピリチュアルな世界にブッダを流し込んでいると言いましたが、キリスト教も宗教なので、ブッダと同じく苦悩の解決をテーマにしています。しかしキリスト教では、人間は神に背き、神から疎外された存在「罪人(つみびと)」になったため、苦悩している者たちとポジショニングされています。
ところが仏教では人間を真実の自己を見失った者、つまり本来の自己から疎外され苦悩していると考え、本当の自己を回復することを目的としています。
絶対的超越者である神に救いを求めるのではなく、本来の自己に目覚める哲学の道を仏道としているのです。この点に映画『マトリックス』が求める着地点があると考えます。
マトリックスの哲学:Believe
モーフィアスは、長い間、この世界の『救世主』となるThe Oneを探し続けてきましたが、ネオに出会って、彼こそ、自分が探し続けてきたThe Oneだと確信したのです。
モーフィアスは、レジスタンスの預言者「オラクル(神託)」から、「お前はThe Oneを見つけ出す。そして人間と機械軍の戦いにも終止符が打たれるだろう」というお告げを受けていたのです。モーフィアスはひたすら信じることでレジスタンスを統率し、自分自身を支え続けていたのです。しかし、面白いことに、傍から見れば狂信者です。
人は、どのような信念、主張をしても、他者に肯定されないと、「自分は狂っていないか?」と不安になるものです。そのために横並びの意見に同意したくなります。つまり信念に生きることは常に「自分は狂っていないか?」との戦いなのです。
「感情を捨てろ」とクールな表情を崩さないモーフィアスですが、本当の顔は、何の根拠もない「お告げ」を信じている熱くクレイジーな男。シリーズ第三作の『マトリックス・レボルーション』でも、リンクの妻ジーに『モーフィアスはクレイジー』と揶揄されます。
しかし「信じる」ことこそが、責任を果たすために、自分自身を変革し未知なる力を引き出す条件に他ならないのです。
お釈迦様(ブッダ)は、入滅する前に弟子の「自灯明・法灯明」を説いています。
『ただ誰かから聞いたからといって、それを信じるな。
何代も受け継がれたからといって、その伝統を信じるな。
たくさんの人の間で語られ、噂になったからといって、それを信じるな。
あなたが所属する宗教の聖典に書かれているからといって、それを信じるな。
ただ貴方の先生や先輩の権威だからといって、それを信じるな。
しかし、観察と分析を行なった上で道理に合っていて、すべての者の利益になると貴方がわかったならば、それを信じなさい。』
自分を信じられるようになるには、疑念を晴らすために、ひたすら学んで、学んで、学び抜くしかないことをお釈迦様は説かれています。
アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリが書いた『星の王子さま』には、秘密を教える賢者の化身、キツネが登場します。
『きみにとって10万匹のキツネのよく似た一匹のキツネでしかないが、きみがおれを飼いならしたら、おれときみは互いになくてはならない仲になる。きみはおれにとって世界でたったひとりの人になるんだ。おれもきみにとってたった一匹のキツネになる。』『ものは心で見る。肝心なことは目では見えない。きみがバラのために費やした時間の分だけ、バラはきみにとって大事なんだ。人間たちはこういう心理を忘れている。でも、きみは忘れてはいけない。飼いならしたものには、いつだって、きみは責任がある。』マトリックスの設計者であるアーキテクトが、ネオがプログラムによって導かれていたことを明かします。そして、多くの犠牲を払ってでもトリニティーを助けに行くかの選択を迫ります。ネオは迷わずトリニティーを助けに向かいます。
責任を果たすために「自分を信じる」ことができなければならないのです。
お釈迦さまも、星の王子さまも、モーフィアスも、責任を果たすために、信じました。
長い時間、お付き合いいただきありがとうございます。
『レボリューションズ』のラストシーン。
太陽こそ本当に全てのものを照らし、成り立たせている世界の真実だと知りました。
まとめ
映画『マトリックス(1999)』が20年を過ぎても、色褪せないのは。マトリックスに囚われた人々が経験する現実は実は幻想だった点が他人話に思えないからです。
映画を観て人生が変わったという人たちに共通した点だと思います。が、それ以上に『マトリックス』に挑む主人公ネオが、さまざまなトレーニングを積んでも、なお、これまでの人生が心の反映にすぎなかったことから覚醒するのに時間がかかることに、頭でわかっても、実践できないことの難しさに共感されたのではないでしょうか?
それが映画『マトリックス』を何度観ても面白いことに繋がっていると思います。
「マトリックス」が映像化した“現実よりも現実に見える仮想世界”という斬新極まりない概念とともに、VFXやアクションの“映像革命”に世界が拍手喝采した。難解なストーリーについていけなくても、静と動の切れ味最高の格闘シーン、紫電一閃のワイヤーアクション、いちいち斬新なキャラクター、このシーンに”『マトリックス』はスゴい”と口コミで広がった。